最近では、「自身の発言が切り取られた」と主張し、何でもメディアやネットのせいにする政治家も増えてきました。ネットが普及してきたばかりの時代であれば、準備不足から不用意な発言をしてしまい、ネットやメディアにおいて、不本意な形で発言が取り上げられることがよくありました。

しかし、ネットが広く社会に普及してからすでに20年以上が経過していますから、発言がどう扱われるのかについて、何度も学習する機会があったはずです。慎重な人物であれば、初期段階からそのリスクを考え、発言のあり方を工夫していますから、そもそも炎上などしません。

この段階になっても、メディアやネットのせいにしているようでは、対外的なコミュ力に疑問符が付きますし、それでも失言を繰り返している場合には、「本気でそう思っているから口に出てしまうのでは?」と思われても致し方ないでしょう。

イラスト:Shutterstock

政治家には公人としての社会的責任がありますから、発言に気をつけるのは当然だと思いますが、自身が損をしないようにするという点においては、私たち一般人にも同じことが言えると思います。

 

商談など、他人との交渉において「ぶっちゃけ」という言葉を多用する人がいます。

交渉もギリギリのところまで進み、後は、互いに落とし所を探るという究極のタイミングにおいては「ぶっちゃけ」という表現はとても効果的です。ところが、まだ十分なレベルに達していない段階でこうした発言を行うことは、相手に不信感を抱かせるだけです。

ひどい人になると、自身が望む値段や条件をふっかける手段として、あるいは自身の行為を正当化するために、最初から「ぶっちゃけ」「駆け引きなしで」という言葉を濫用しています。自分に有利なように物事を進めたいという意図があまりにも露骨に出ており、これではまともな交渉はできません。

同じく、商品を売り込む側が、「顧客目線で対応します」「顧客ファーストで」などと発言することや、スポーツ関係団体の幹部が、わざわざ「選手ファーストで」などと説明することもたいていが逆効果です。
 

 


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