日銀が大規模な金融緩和策を一部修正したことから、一部の住宅ローン金利が上がりました。金利引き上げの対象となったのは固定金利の商品で、多くの人が利用している変動金利の商品については、従来の金利が継続となります。全体として見れば、それほど大きな変化ではありません。しかしながら、金融政策が変更されたということは、長い目で見た場合、日本全体の金利が上がる可能性が高まったことを意味しています。将来的には、変動金利のローンについても支払い額が増える可能性が出てきたと考えるべきでしょう。
日銀は2022年12月の金融政策決定会合において、長期金利の上限を0.25%から0.5%に拡大する決定を行いました。この決定に伴い、一部、住宅ローン金利が1月から上昇しました(上げ幅は0.1〜0.3%程度)。固定金利の住宅ローンについては、基本的に長期金利に連動して金利が決まりますから、長期金利が上昇したことで住宅ローン金利にも影響が及んだわけです。
もっとも、住宅ローンを組んでいる人のうち7割以上が変動金利となっており、固定金利を利用している人は少数派です。今回の決定で影響を受けるのは、これから固定金利で住宅ローンを組む人だけということになりますから、全体からすれば影響はごくわずかでしょう。
固定金利の住宅ローン金利が上がったことから、より金利が安い変動金利にしようと考えた人も多いかもしれません。実際、一部の住宅ローン専門家は、今回の金利上昇を受けて、変動金利を選択する人が増えると予想しています。
確かに固定金利でローンを組むと、変動よりもさらに高い金利を支払う必要がありますから、今の時点では変動金利にしておいた方が有利になります。しかしながら、変動の方が金利が安いからといって、十分に検討せずに飛び付くのは避けた方がよいでしょう。ごくわずかとは言え、日銀が長期金利を変動させたということは、長い目で見た場合、日本の金利が上昇する可能性が高くなってきたからです。
日銀が操作するのは本来、短期金利であり、長期金利の操作は例外的に行われてきました。今回の決定は、例外的措置だった長期金利の操作について一部修正するという内容であり、短期金利は今のところマイナス金利を継続する方針を崩していません。
しかしながら、長期金利について上昇を許容したということは、将来的には短期金利も上がる可能性が出てきたと見なすことも可能でしょう。
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