20年の時を経て映像化される恋愛小説『A2Z』も話題の作家・山田詠美さん。最新作の自伝的小説『私のことだま漂流記』には、黒人米兵とクラブ歌手の同棲生活を描いた『ベッドタイムアイズ』でデビューした当時、様々に届いた非難、罵倒、脅迫などについて明かしています。そこに並ぶ「大和撫子」「貞操観念」「不道徳」などの言葉は、今ではそれほど頻繁に聞く言葉ではありませんが、例えば不倫スキャンダルで袋叩きにされる芸能人を見るにつけ、「外側の衣装は今風になっただけで、本質的な中身の部分は全然変わってないのかも」と山田さんは感じています。恋愛や性を語るとき、人はなぜ倫理を持ち出すのか。恋愛小説の名手が考える、その答えとは?
山田詠美
1959年東京生まれ。’85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞を受賞し小説家デビュー。’87年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞、’89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、’91年『トラッシュ』で女流文学賞、’96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2001年『A2Z』で読売文学賞、’05年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞、’12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、’16年「生鮮てるてる坊主」で川端康成文学賞を受賞。近著に『つみびと』『ファースト クラッシュ』『血も涙もある』など。
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