40代になったら「美容オイル」は使うべき?植物性や動物性など、選び方のポイントも!
乾燥するいまの季節、顔やボディ、ヘアまで保湿できる「オイル」は欠かせません。でも、たくさん出ているオイルのなかから、最適な1本を選ぶのはなかなか至難の業。そこで、植物療法士の森田敦子さんに、自分にぴったりなオイルの見つけ方について話を聞いてみました!
植物療法士が断言!
「植物成分のほうが優れているなんて大きな間違い」
「最近はいろいろなオイルが出回っているけれど、何を基準に選んだらいいのかわからない……! そもそも動物性と植物性オイルは何が違うの?」そんな初歩的な疑問から解決すべく、先日、私は植物療法士の森田敦子さんのもとを訪れました。
森田さんへの取材前、私は勝手に「植物療法士の森田さんに、植物性オイルのよさは聞けても、動物性オイルのよさは聞けないかもなぁ」なんて思っていました。ところが、森田さんが開口一番言われたのは、「最近は『植物だから安心、植物性だから効く』みたいな風潮があるけど、それは間違い!」ということ。
「植物性オイルと動物性オイルはそれぞれにメリット・デメリットがあります。
たとえば、植物の種子などが原料の植物油は、酸化しにくいリノール酸やリノレン酸などを豊富に含んでいるのが嬉しい点。
これらの油は、体の組織を構成する大切な成分なので、積極的に使いたい油です。また、酸化した油は、肌の炎症や老化の原因になりますから、このような酸化しにくい成分で構成されているものを選ぶというのは、重要です」(森田さん)
しかし一方で、自分自身が弱っているときや、肌がゆらいでいるときなど、肌の立て直しが必要なタイミングでは、動物性オイルが重宝するといいます。
「ここ一番のパワフルな効果を求めるときは、私も積極的にEPAやDHAなどオメガ3系の油を含むサケを食べたり、動物性オイルを塗ったりします。
植物からそのまま抽出すると人に直接効きにくい油も、その植物を動物が食べた場合、動物は体の中で成分を代謝させ、生きていくうえで必要な脂肪に変化させます。その動物からいただく脂肪は、人にとっても吸収しやすいものになるんです」(森田さん)
なかでもパルチミン酸やステアリン酸といった脂肪酸が注目だそう。
「じつは、パルチミン酸には炎症のもととなる活性酸素を減らしてくれる働きが。ステアリン酸には、保湿効果や殺菌効果もあるんです。また、動物性オイルは、バターやラードなどを思い浮かべていただくとわかる通り、一定の温度で固形化しますね。そのような性質なので、肌の上にラップのように濃密な膜を作ってくれ、保湿効果を発揮してくれるんですよ」(森田さん)
ただ、動物性オイルがパワフルだからといって、植物性オイルのほうが穏やかで優しいと限りません。
「植物は、土や水からミネラルやビタミンを吸い取り、光合成を行いながら、外敵から身を守るため、毒などの機能性成分を作ります。実は普段、私たちが使っている薬の原料は、このような成分をもとにしたものが多いんです。つまり、植物は使い方や量次第で毒にも薬にもなるということ。それだけ強い力を持っているんですね。もちろん、植物から抽出されたオイルにもこれらの成分が混じっています。
だから、動物性と植物性の油は、どちらがいいor悪いという単純なものではありません。どちらにも特徴があるので、自分の用途や体質にあわせて使い分けることが大切です。そして、どんなオイルを使うにしても、使い始めは一度パッチテストをしてみることをおすすめします」(森田さん)
みなさんも、それぞれの特徴を理解して、オイルを選んでみるのはいかがでしょうか?
●酸化しにくいものが多い
●植物が持つ機能性成分の恩恵にもあずかれる
<<動物性オイルの特徴>>●とにかく保湿力に優れている
●肌を立て直したいときにぴったり
●パルチミン酸が活性酸素を減らしてくれる
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森田 敦子
大学を卒業し、航空会社の客室乗務員の仕事に就くも気管支疾患を発病。その治療として植物療法を知り、本場のフランスで学びたいと航空会社を退職し渡仏。フランス国立パリ13大学で植物薬理学を本格的に学ぶ。帰国後、植物療法に基づいた商品とサービスを社会に提供するため、会社を設立。2003年には日本バイオベンチャー大賞近畿バイオインダストリー振興会議賞受賞。女性のためのケアブランド「アンティーム オーガニック」での商品開発や、トータルライフケアブランド「ワフィト」を創設。中目黒にAMPP認定・植物療法専門校「ルボア フィトテラピー スクール」を主宰。著書に『潤うからだ』(ワニブックス)、『自然のお守り薬』(永岡書店)など。