「別に欠けてなんかないからね」の重み
この物語の特徴は、恋愛体質なあいこと、他者に恋愛感情を抱かないアロマンティックのともこという、一見真逆な2人が同居すること。恋愛をする・しない、どっちにしてもぶち当たる様々な当たり前に対するモヤりを、一緒に考え前に進んでいきます。
ともこはあいこの恋愛の悩みを受け止めるし、あいこもともこが恋愛至上主義の圧にぶち当たった時は、その苦しみを想像する努力をします。もちろん、ぶつかることもありますが、ちゃんと自分の気持ちを伝えることを、そして相手を理解しようとする努力をやめません。
ともこは、恋愛しないがゆえに「周囲との違い」を感じ続けてきたことを、あいこにも打ち明けます。ともこが、「自分はなんか欠けてんのかなぁっていっつも不安でさ」と吐露したあと、あいこはともこに言います。
「ともこさぁ、別に欠けてなんかないからね」
このシーン、ちょっと泣きそうになりました。
「男女に友情は成立するのか?」という不毛論争
そんな2人を見ていると、価値観は違っても、相手のことを完全に理解はできなくても、共存することはできる、そんなことを思うのです。
恋愛しないともこは、周囲に対して、「理解できなくても、見守っててほしいってずっと思ってた」といいます。これをしてくれたのが、まさにあいこだったのだと思います。これは恋愛にかかわらず、大切なことだと思うのです。
また、このドラマではともこと村山しんたとの男女の友情も描かれます。カフェ好きで「“隠れ家カフェ”を隠れさせない男」を自称し、あいこからも「隠れ家カフェ男」と呼ばれ、いじられる愛されキャラのしんた。
世間では「男女に友情は成立するのか?」というとてつもなく不毛な論争がいまだにありますが、ともことしんたの、見るだけでほっこりする友情関係を見ると、ますますそんな論争が馬鹿馬鹿しく思えてきます。
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