『竜の道 二つの顔の復讐者』(2020)

ドラマ『罠の戦争』いつの時代も“復讐劇“はおもしろい!おすすめの歴代名作もご紹介_img0
『竜の道 二つの顔の復讐者』 各種サブスクにて配信中

双子の兄弟の竜一(玉木宏)と竜二(高橋一生)は、自分たちを育ててくれた養父母の事業を乗っ取り、自殺に追い込んだ源平(遠藤憲一)への復讐を誓います。長い年月をかけて計画した復讐を進めていくこのドラマ。双子にしては全然顔似てないじゃん、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、竜一は復讐をより円滑に進めるため、タバコの火の不始末で死んだと見せかけて顔も名前も変えて竜二の前に表れるのです。もう、復讐に懸ける執念が半端ない。竜一は裏社会の人間として、竜二は国交省のエリート官僚として、じわじわと源平を追い詰めていきます。

 

玉木宏さん演じる竜一が、アクションもかなりしていてかっこいい。年齢を重ねたからこそ出る色気と、”ちょっと悪いかっこよさ”がたまらない。高橋一生さん演じる竜二は一見温和で感じのいい、虫も殺さぬ顔をした人物なんですが、こちらも最終目的は復讐なわけで、平気で人を欺ける恐ろしさも持った人。しかしそこがまた高橋一生さんのハマり役感があっていい……。

敵である源平(遠藤憲一)も憎いのですが、悪役演技が絶妙でたまらない。何と表現してよいのか、小物じゃない悪役を全うしていました。確かこの頃って「遠藤憲一さん、顔は怖いけどいい人」みたいなイメージがついていたところで、久しぶりの悪役というニュースが出たのですが、やっぱり悪役も秀逸だな~~と唸らされました。

源平の娘・まゆみを演じた松本まりかさんの演技も素晴らしかったです。冷え切った家庭環境の中で愛を知らずに育ったまゆみは表の顔とはうらはらにすごい性格をした女性。竜二は源平に近づくためにまゆみに近づき、付き合います(ひどい)。でも途中、お互い惹かれ合うようなシーンもあり、2人の感情の揺れが気になってしまう。でもこの竜二の本来の目的や、源平が竜二たち家族にしたことを考えるとつらい未来しか見えない……という、複雑な気持ちになる展開でした。

このお話、衝撃のラストが待っており、驚く半面「復讐ってこういうことだよな……」と妙に納得する気持ちもありました。どんなラストだったかは、ぜひご自身の目で確かめていただきたい。安定のカンテレクオリティというべきか、最高に面白かったのですが意外と周りに観ている人が少なく、今からでもぜひ観てほしい作品です。