そしてチーズには季節があることも知りました。シェーブルは、子山羊が生まれてお乳が豊富になる春〜夏がシーズン。独特の強い匂いがする、ウォッシュタイプの代表格であるエポワスは夏から秋にかけて。秋冬になると出てくる、トリュフが挟んであるブリーは格別ですし、冬の代名詞と言ったらやっぱりモンドール。

<新刊決定>プロセスチーズで満足だった私がハマった「フランスのチーズ」の奥深さ【パリ在住ライター井筒麻三子】_img4
モンドールは、木箱入りのホールで買うものだけでなく、直径30cmほどの大きさで、切り分けてもらって購入するタイプもあります。

地域によってもチーズ文化は様々です。バスク地方では羊のチーズ、オッソ・イラティが有名ですが、これは黒さくらんぼのコンフィチュールと共にいただくのがお約束。世界で愛されるカマンベールは、実はカマンベール村が発祥だって知ってました? 私はパリに住んでから、初めて知りました! チーズの名前というのは、ほとんどがその原産地の村や町の名前だというのも、フランスに来てから知ったことです。

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カマンベール村の看板。名前は有名なのに非常に小さな村で、「え、これだけしかないの!?」とびっくりしたほど。

ちなみに私は、パリから電車で約1時間の町、フォンテーヌブローの名物「フォンテーヌブロー」が大好きです。フロマージュ・ブランという、どこのスーパーでも売っている定番のフレッシュチーズに、泡立てた生クリームを混ぜたものなんですが、これにフランボワーズのソースをかけると、デザートとして永遠に食べられる美味しさなんです。

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生クリームとも違う、さっぱりしたクリーム感が美味しいフォンテーヌブロー。奥は同じチーズ屋さんで購入したチーズケーキ。

ところで、「日本へのお土産でおすすめは?」という質問をよく受けるのですが、私調べの一番人気はやはりチーズとバター。
大手デパートや有名チーズ屋さんなら、大概どこでも頼めば真空パックにしてくれます。ただしチーズは呼吸が必要なので、家に帰ったらすぐ真空パックから取り出すこと! そしてラップではなくクッキングペーパーで包み、乾燥しないように保存容器に入れ、野菜室に保存。時々チェックして、水分が出ている場合は拭き取ってあげることが大事、とチーズ屋さんに教わりました。

 

バターの場合は、真空にせずとも普通のジップロックで大丈夫。フランス人の知り合いに、日本に帰る時はいつも何十個もバターを持っていくと話したら「スーツケースの中でフォンデューにならないの!?」と驚かれましたが。夏以外は、今のところ問題なく持って帰れています。
ただし、チーズもバターも機内持ち込みはおすすめしません。昔チーズを機内持ち込みにしたところ、機内が暖かかったため臭いが発生してしまい慌てたことが。搭乗中は貨物室のほうが気温も低いので、チーズもバターもスーツケースに入れておくのが安心です。
 

撮影/Yas