登録者数35万人! 人気のYouTubeチャンネルを主宰するパリ在住エッセイスト・井筒麻三子さんが、待望の初書籍『GORO GORO KITCHEN 心満たされるパリの暮らし』を4月14日に刊行。今回は新刊にも掲載した、フランスの食にまつわる美味しいお話をひとつお届けします。

『GOROGORO KITCHEN 心満たされるパリの暮らし』(講談社) 著/井筒麻三子  写真/Yas
4月14日発売


フランスでは、というかイギリスもそうでしたが、薄切り肉がほとんど売っていないのです。スーパーでもお肉屋さんでも、ドーン! と並んでいるのは塊肉ばかり。最初はウキウキと、肉肉しくていいわ〜と塊のよさを堪能してましたが、段々なんだか恋しくなるのです。野菜炒めなどの中にいる、ぴらっと薄くて食べやすい薄切り肉が。

 

一体なんで塊ばっかりなんだろう? と、あるときネットで調べてみたところ、ヨーロッパはナイフ&フォーク文化なので、お箸文化圏である東アジアのように、薄切りでそのまま食べられる状態に加工する必要がないから、という説が。なるほど、確かにこの国の人たちなら、「ナイフで各人が切ればいいし、塊で出せばいいわ〜」と言いそうだなと、なんだか納得してしまいました。

レストランでも、存在感ある赤身肉がドーンと出てくるような、ボリューミィなお肉料理メニューが多いです。

お肉の販売形態の違いは、薄切りがあるかないかだけではありません。ヨーロッパで売られているお肉は多くが骨付きのままです。豚肩ロースや鶏もも肉にも、ごろっと付いている。骨がついているものは”avec os”(骨付き)と表示されていて、“sans os”(骨なし)というものもありますが、骨なし肉のほうが値段も上。
人件費が高い国なので、手間がかかればかかるほど値段も釣り上がるのだろうと解釈してたのですが、あるときそれをYouTubeで話したところ、フランス人の方から「肉は骨の周りが一番美味しいので、あえて残してあるんですよ」という弁明(?)コメントが。確かに骨の周りが一番美味しいのは事実だけど……やっぱり、手間をなるべく省きたいからという説に1票を投じたい気がしている私です。

お肉屋さんでも、骨付きのお肉が並べられています。骨は、お願いすれば取り外しもしてもらえます。


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