2月17日より劇場公開されている映画『別れる決心』。BTSのRMも絶賛したと言われる、今注目の韓国映画です。
当記事では、韓国ドラマライター・小澤サチエが、本作品の魅力を語ります。
『別れる決心』は、「刑事と容疑者のあいだに芽生えた禁断の愛」を描いたサスペンスロマンス。
映画『オールド・ボーイ』『親切なクムジャさん』等で知られる、韓国映画界の巨匠パク・チャヌク監督の6年ぶりの復帰作ということで、大きく注目を集めました。
本国・韓国で数々の映画賞に輝き、さらにカンヌ国際映画祭では監督賞を見事獲得。世界的にも高い評価を得ました。
やがて事件解決の糸口が見つかり、事件は解決したかに思えた。しかし、それは相手への想いと疑惑が渦巻く“愛の迷路”のはじまりだった......。
過激な描写はないのに、とびきりエロティックなラブストーリー
私も鑑賞前にいくつかのレビュー記事を読みましたが、前評判で目にしたのは「大人のサスペンスロマンス」「官能的」「エロティシズム」などのちょっぴり刺激的なワードばかり。
ですからてっきり、ベッドシーンなどの性的描写がふんだんに散りばめられた大人のラブストーリーを想像していました。ところが本作はそんな予想をあっさりと裏切り、これまで抱いていた「エロティシズム」の概念を大きく覆してきたのです。
主人公の刑事へジュンを演じるのはパク・ヘイル。そして彼が惹かれていく容疑者ソレを演じるのは、中国出身の女優タン・ウェイです。
初めは、タン・ウェイ演じるソレはいわゆる“ファム・ファタル”的存在で、刑事のへジュンを巧みに誘惑していくのかな? とありきたりな展開を勝手に想像していたのですが……。
ソレが自ら、性的な魅力のアピールをすることはほぼありません。一度だけ、へジュンに太ももの傷を見せるためにスカートをたくしあげるシーンがありました。そこには挑発や誘惑の意図もあったと思いますが、それ以上の露出は全編を通じていっさいなく、性的アピールによって男性を誘惑するような、典型的ファム・ファタルではなかったことに意表を突かれました。
そもそも『別れる決心』には刺激の強い性的描写はほとんどなく、主演二人のラブシーンも、後半に初めて二人のキスシーンがようやく登場するくらい。それなのに、本作品はたまらなくエロティック。
刺激的な描写を入れることなく、パク・チャヌク監督はどのようにして官能的なラブストーリーを完成させたのでしょうか。
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