安易に三角関係にしない
ごめんなさい。キャストを見た時、北村匠海さんとディーン・フジオカさんで吉高由里子さんを奪い合うものだと思っていました。ディーン・フジオカさんが演じる深夜は、鈴の同僚。しかも、鈴に興味がありそうだし、三角関係にするならもってこいな布陣じゃん! と。深夜が44歳、鈴が35歳、一星が25歳という年齢設定も、ちょうど良くないですか?
でも、大石静さんは安易に三角関係にしなかった。もちろん、一星と深夜でバチバチのバトルを繰り広げたら、簡単に視聴者をハラハラさせることができたと思うんです。だけど大石さんは、深夜と鈴、そして一星の関係に名前をつけなかった。
「鈴先生と一星と深夜は、太陽と月と地球みたいな関係だな。ああいう関係は、恋とか愛とか、単純な名前はつけられないな。一列に並んだり、陰になったり、欠けたり満ちたりしながら。3つは回り続けている」
最終回の千明(水野美紀)の台詞を聞いた時、なんだかホッとした自分がいました。大事にしたい異性の友人ができた場合、その人が恋愛対象じゃなかったとしても、いつの間にか短距離走を走らされているような気分になった経験、ありません? 年齢を重ねてくると、とくにそう。“仲良い異性の友だち”を見ると、みんなゴール(=結婚)に結びつけたがる。
ただ、男女のゴールは、必ずしも恋愛や結婚じゃなくたっていい。これは、『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』(TBS系)でも描かれていましたよね。石子(有村架純)と羽男(中村倫也)には強い結びつきがあったけれど、恋愛には発展しなかった。ドラマで3人の男女を見ると、すぐに「三角関係になるな」とか、「うわぁ、バチバチしそう」と思い込んでしまう自分への戒めとしても、千明の言葉は大事にしていきたいです。
“喪失”を抱えている登場人物たちが、過去と向き合い、新たな“希望”を見つけ出していく。『星降る夜に』は全9話を通して、私たちの心に輝きをもたらしてくれました。愛おしい登場人物たちの優しい日々が、いつまでも続くことを願っています。
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