米倉涼子さんが今度は国際霊柩送還士に。聞き慣れない職業ですが、国境を越えて遺体を遺族の元へ送り届ける仕事に全力疾走する伊沢那美役を演じています。3月17日からプライム・ビデオで世界同時配信されたAmazon Original ドラマ『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』(全6話)の主演作品になります。熱い役柄の中で見え隠れする繊細さがずしりと響く。気になる制作秘話を交えて、作品の魅力を解説します。

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大胆さと繊細さを併せ持つ主人公は、俳優・米倉涼子の新境地

 

Amazon Original ドラマ『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』で米倉涼子さんが演じる主役の伊沢那美は、大胆さと繊細さを併せ持つ人間味のあるキャラクターです。自信に満ち溢れた姿に、それって『ドクターX 』の外科医・大門未知子? ともなりますが、国際霊柩送還士・那美の人物像は死と向き合う遺族を介して、じわりとじわりと魅力が伝わってくる新しさがあります。

第10回開高健ノンフィクション賞を受賞した佐々涼子さんによる同名タイトルの小説を原作に、『コンフィデンスマン JP』シリーズを代表作に持つヒットメーカー古沢良太さん筆頭の脚本家チームがAmazon Originalドラマのオリジナルエピソードを手掛け、キャラクターを練り上げた背景も影響していそうです。

そもそも国際霊柩送還士ってどんな仕事で、どんな想いで海外から日本へ、日本から海外へと遺体を遺族の元へ送り届けているのか。そんな職業としての興味も引きだしつつ、異国の地で死に至ったありとあらゆる事情と残された遺族にもフォーカスし、「生と死の尊さ」を那美が直球で伝えていきます。

周りを巻き込んでいく力業は強引に見えます。でも、「必ずご遺体とご遺族に最期のお別れをさせてあげる!」という信念に何より共感できるはず。

 

現場を仕切った堀切園健太郎監督(NHKエンタープライズ所属)はキャラクターイメージを米倉さんに伝えた時、「ドクターXはやめてください」とお願いし、「国際霊柩送還を営む会社の社長としての那美は明るくポジティブ。一方で、死の現場で見せる繊細さも芝居で表して欲しい」とも。それに快く応じた米倉さんの演技を見て、「セリフのキーを下げてくれたような第一声」が印象的だったそうです。

俳優人生史上最短のへアスタイルと言われる攻めたビジュアルも印象的ですが、実は米倉さんからみると控えめにしたようです。というのも、「ツーブロック刈り上げでいきましょうか!」と、堀切園監督に相談していたそうで。結果的に見送られたものの、潔さがたっぷり伝わってくる話です。