診察中は、どんな器具が入るか、形とか温度とかから、何を見るものか、どんな恐れがあるかまで丁寧に言葉で説明してくれ、大丈夫ですか、ゆっくりやりますね、などなどの気遣いもあり、ああ、安心、なんて思いながら診察を終えたのでした。

ここの検診センターを運営する人たち、お医者さん、看護師さんたちは、みんなツイッターを見てるなと確信しました。つまり「カーテンは開ける!」という硬直した決定をしたわけではなく、世の中の意見を取り入れつつ、利用者が不快にならないよう、試行錯誤しているんだなと思ったのです。私の婦人科検診は一生涯この検診センターでやる! と心に決めたわけですが、この検診センターがそうである理由を、実のところ私は明確にわかっているのでした。

そもそもこの検診センターでは、検診は性別ごとにフロア分けされていて、移動から待ち時間まで、検診着を着た状態の男女が互いを目にする場所がほぼありません。そして女性フロアは、医者も看護師もスタッフもすべて女性で、男性はひとりもいません。女性の不安や不快を徹底的に気遣えるのは、そこに女性しかいないからです。男性は基本的に女性の痛みを知らないもしくは無関心だし、もし気づいても、実害のないそれを改善すべく動いてはくれません。

さてまた別の日。ある映画会社の試写室で映画が始まる前にトイレに行った時のこと。
そこは2つの個室があるのですが、ひとつは女性用でひとつは男女兼用です。これは非常にありがたいことですが、できたら「女性専用」に入りたいと思うのは、「男女兼用」のトイレがちょっと汚い感じがあるからです。男性は立ったまま用を足すし、家でも「トイレは誰かが掃除するもの」と思っているからかもしれません。

とはいえ、これはまだ試写室に付属するトイレだからいいですが、公衆トイレなら? 安心して、心地よく使えます? 使いたいと思います? 今話題の渋谷の公衆トイレーー「女性用」が「共用」になった、格好ばっかりスタイリッシュなあのトイレはどうでしょう? 「SDGs的に、LGBT的に、いいこと考えた! 女性用失くして、誰でもトイレに!」と思ったのかもしれませんが、実質的には「男性用トイレ」しかないってことに思えるのは私だけ? 
あらゆる現場、決定権が男性主導で、ジェンダーギャップ指数の国際的順位があがる気配もまったくなし。これが私が見た、今年の日本の国際女性デーの風景です。

 

 

前回記事「本気で少子化対策する気はないんじゃ...?岸田政権の“根本的な解決にならない“ズレた感覚」はこちら>>

 
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