誰の人生にも「物語」があります。


人は、成仏できない物語があると辛い気持ちになり、前向きな物語を描けないと落ち込んだりモヤモヤしたりします。


この連載では、心理学者でキャリアコンサルティング技能士の杉山崇先生が、「物語」という名のライフキャリアを整える方法を皆さんにお伝えしていきます。

あこがれの街に住みながらも日々「もやもや」していた。“軽いコミュ症”な女性が選んだ生き方とは?_img0
 

突然ですが、私のカウンセリングを少々紹介させてください。私のカウンセリングにはいろんな方がおいでになります。その中で、時に「何を相談したいのかわからないけど、なんだかもやもやする……」と、訴えておいでになる女性がいます。

 

不満も悩みもストレスもないけれど……


日々の暮らしに大きな不満はない、何かに困っているわけでもない、仕事もストレスになっているわけではなくむしろ充実感も……。なのに、なぜか「もやもや」が晴れない毎日。
気分がすっきりしない、何かがおかしい。でも何がおかしいのかわからない……。

あなたにもありませんか? 何だかよくわからないけど、「もやもや」する時。
心理学的には心に無駄はありません。この「もやもや」にも必ず意味があるのです。

そこで、「もやもや」の意味を探るために、あるフランス映画を一つご紹介したいと思います。その映画は『アメリ(Le Fabuleux Destin d'Amélie Poulain)』と言います。公開されたときはかなり話題になったのでご覧になった方も多いかもしれません。

空想好きで軽いコミュ症のアメリ


主人公のアメリは医師である父に心臓病と誤診されて小学校から学校に通っていない22歳の女性です。モンマルトルのcaféに務めています。このcaféの常連も曲者ぞろいでかなり興味深いのですが、アメリも負けず劣らずの曲者です。なぜなら趣味は空想なのです。

他の子どもたちと遊ぶ機会を失う中で唯一の楽しみが空想だったのです。空想は良いものです。空想だから何でもできます。
アメリは空想でかなり満たされていました。ただ、その分、コミュニケーションは達者にはなりませんでした。そして、空想だけではやはりなにかが足りないみたいで、ちょっとした「もやもや」も抱えていました。
 

思いつきでやってみただけだったけど……


そんなある日、人助けをしてみたところ想像以上に喜ばれて、アメリはやり甲斐を覚えます。ここから、アメリはcaféの常連など周りの人を幸せにするようになります。曲者の常連たちが幸せになるのですから、これはかなり見ものです。ぜひ御覧いただきたいのですが、最後はアメリ自身も同じくらい曲者のダーリンと結ばれてハッピーエンドを迎えます。そして、「もやもや」はもうなくなったようです。

 
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