作家・ライターとして、多くの20代~40代の男女に「現代の男女が抱える問題」について取材をしてきた山本理沙。その赤裸々な声は、まさに「現実は小説より奇なり」。社会も価値観も変化していく現代の夫婦問題を浮き彫りにします。

今回は資産家と結婚し、いわゆる玉の輿、セレブ妻となったものの、なぜか「お金がない」と切実な悩みを抱える彩乃さん(37歳)のお話を伺いました。都心のタワーマンションのペントハウス在住、高級車に乗り、子どもをインターナショナルスクールに通わせながらも「お金がない」理由とは……?

「私、お金がないんです」都心のタワマン在住のセレブ妻の叫び。資産家で誠実な夫との結婚生活の、意外な落とし穴_img0
 
取材者プロフィール 彩乃さん(仮名)37歳
職業:フリーランス
家族構成:同い年の夫、3歳の娘、0歳の息子

     
 

残高が「30万円を切った」恐怖


「恥を忍んでお話しますが、私、本当にお金がないんです」

今回取材で訪れたのは彩乃さんのお宅。タワーマンションのホテルライクなエントランスを通り、エレベーターで最上階へ上がり一際大きなドアから中へお邪魔すると、リビングからは東京タワーすら見下ろすような都心の絶景が広がっていました。

ティーカップに紅茶を注ぐその左薬指には、圧倒されるほどの大きなダイヤ。けれど素人離れしたまるでお人形のような容姿をした彩乃さんに、その景色と指輪は当たり前のようにすんなり馴染んでいます。

この環境で「お金がない」という発言はあまりに違和感がありますが、過去には女優として芸能活動をしていたという彩乃さんは、眉間にシワを寄せ視線を落とすその表情すら絵になっていました。

「こんなことを大きな声で言ったら、叩かれたり不快になる人も多いかもしれません。外から見たらセレブ妻に見えるだろうこともわかってます。でも私、結婚してるのに本当に余裕がないんです。結婚から出産を経てバタバタしていたら、気づいたら自分の収入が半分以下に激減していて……先日、ついに預金の残高が30万円を切りました」

現在、彩乃さん個人の全財産はこの30万円弱。次のクレジットカードの引き落としまでに給料が振り込まれないと面倒なことになるからと、ご主人に「救済金」として20万円ほど振り込んでもらえないか交渉をしていると言います。

「夫婦って、皆さんお金はどうしてるんですか? みんな口に出さないけど、普通、生活費ってどのくらい貰うものなんでしょう? それとも家族カードを好きに使える? 共働きなら完全に別財布? みんなどうやってやりくりしているのか、本当に知りたいです……」