自己肯定感、自分軸、成功体質、主体性、オープンマインド、共感力などからなる、目には見えない生きる力・人間力を培う、「非認知能力」育成のパイオニアとして活躍するボーク重子さん。このたび上梓した『人生・キャリアのモヤモヤから自由になれる 大人の「非認知能力」を鍛える25の質問』には、人生100年時代の現役世代として、道なき道に轍を作っていかなければならない私たちへのヒントが盛りだくさん! そんな、女性のキャリアと幸せを日々考えつづけるボーク重子さんとミモレの川良咲子編集長が、東京とワシントンD.C.を繋いでオンライン上で初対面を果たし、ミドル女性のこれまでとこれからについて語り合います。

 
<非認知能力とは?> 認知能力は、テストの点数や偏差値、IQ(知能指数)など「数字で測定できる」知的能力のこと。一方、非認知能力は、自己肯定感、自分軸、成功体質、主体性、オープンマインド、共感力など、「数字では測定できない」能力のことを指します。2000年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン教授が「人生の幸せと成功に学力よりも大きく寄与する能力」と証明した能力であり、現在は日本を含む世界中で「非認知能力を育てる教育」への取り組みが行われています。
 


「私にはキャリアなんてありません」の意味


川良咲子編集長(以下、川良) 今日は重子さんとお話しできるのを楽しみにしていました。というのも、先に書籍を拝読したのですがとても濃厚な内容で! 対談まで待ちきれなくて、ポッドキャストの「キャリコン編集長通信」でも少しだけご紹介しました(笑)。

ボーク重子さん(以下、重子) ええ! 嬉しい〜! 私もミモレの「キャリアと人生」はいつも読んでいて、「川良さん、お会いしたことないけど……好き!」って思っていたんです。なぜなら、ミモレはファッションやコスメ情報も充実しているけど、女性のキャリアに関しても素晴らしい記事が多いから。だから、川良さんの「キャリアの記事が読まれない」というコラムを読んだ時はちょっと意外でした。

川良 読んでくださってありがとうございます。コラムでもお伝えしたんですけど、「キャリア」という言葉は本来、轍(わだち)や道を意味する言葉で、つまりは「人生そのもの」を表す言葉でもあるんですよね。でも、日本ではキャリアというと「ハイキャリア」とか「キャリア組」とか、そんなイメージが強いので、キャリアという言葉を見ても「私には関係ないな」と素通りする方が多かったんじゃないかなって。

重子 すごくわかる。私は元々アメリカの女性向けにコーチングを始めて、途中から在米の日本人女性に特化したコーチングに切り替えたんですけど、最初はアメリカ人向けの資料をそのまま使っていたんです。だけど、15年以上働いてきた人も、働いたことがない女性も、口を揃えて「私にはキャリアなんてありません」って言うの。なので、今までのやり方じゃダメだと思って、キャリアって「生き方」なんですよ、というところからお伝えするようにしたんです。


「職業名」よりも「何のために生きているか」

 

重子 そもそも、私が今住んでいるワシントンD.C.では、挨拶一つにしても名前よりも先に「あなたは何をやっているの?」って聞かれるんですよね。例えば私なら「ライフコーチです」と言えばそれでいいはずだけど、相手が知りたいのはそうじゃない。ライフコーチは私の「職業という記号」であって、「私がやっていること」じゃないのね。だから自己紹介の時はいつも「女性の幸せと子どもの非認知能力にコミットするライフコーチです」と伝えていて。

川良 キャリアとは生き方――その意味がわかる自己紹介ですね。

重子 「何のために生きているのか」ということにつながってますよね。自分だけのために働くだけだと、色々なことが頭打ちになってしまう。だから、ビジョンやミッションを掲げることは、どんな仕事であれ大切なことだと思います。