日本の女性は「全方位」でとっても優秀


重子 なんかね、アメリカに来て改めて思ったのは「日本人の女性って世界で一番優秀なんじゃない!?」ということ。こちらには「ワンオペ」という言葉はないし、アメリカでワンオペやれなんて言われたら、結婚する女性いなくなっちゃうんじゃないかな。ワンオペを肯定するつもりではないけれど、日本の女性たちは子育てして、家事もして、仕事もして、みなさんすごく忙しいと思うの。それなのに身なりもきれいに整えていて、素晴らしいなっていつも思うんです。一番いいなと思うのはやっぱり仕事ぶり。日本の女性の仕事は丁寧で美しいです。

川良 「仕事が美しい」って、とっても素敵な表現ですね。

重子 本当に、その表現がぴったりなの! だから、もっともっと自由になれたら、グローバルで活躍できる女性があっという間に増えると思うんです。前回もご紹介した、非認知能力のリフレーミング(視点を変える/視点を増やす)の手法でいうと、一つ、非常に強力なリフレーミングがあって。「私ってダメだなあ」ってみなさんよく言うじゃないですか。それを「ダメな私でいいじゃん」にリフレーミングしてほしいんです。自分という存在自体を愛すること、自分を労ってあげること。そうすることで自分に対する見方も変わるし、見えにくくなっていた自分軸も発掘しやすくなると思うから。

 

50歳からは「ダメな私でいいじゃん」が効く

 

川良 ちなみに、重子さんの本でも説明されている「プランド・ハップンスタンス(Planned Happenstance)」って、私がキャリアの勉強をした時に一番好きな理論だったんです。綿密な長期の人生設計をするのではなく、チャンスが来た時にすぐに受け止められて動けるために必要なこと。楽観性、柔軟性や冒険心などの素晴らしさって、学校でも職場でも習ってこなかったですよね。

重子 アメリカって、女性たちの働き方にも本当にいろいろあって自由。私は自分で自分に蓋をして生きていたから、なんでなんだろう? と最初はすごく不思議だったんです。その理由が、非認知能力を育む教育と文化だったわけですね。私たちは今までそうした教育も環境もなかったけれど、非認知能力は大人になってからでもじゅうぶん鍛えられるものです。

それにアメリカの女性も、40歳後半から50代くらいになるとハッピーな人とそうじゃない人に分かれてくるのがわかってきて。子育てがひと段落して人生後半に差し掛かった時、「私ってダメだなあ」を手放せた人からハッピーになっている。その方が、軽やかにチャンスを掴みにいけますから。だからみなさんにも、「ダメな私でいいじゃん!」の魔法をかけてほしいなって思っています。
 

ボーク重子(ボーク・しげこ)さん
Shigeko Bork BYBS Coaching LLC代表。ICF(国際コーチング連盟)会員ライフコーチ。アートコンサルタント。福島県生まれ。30歳目前に単独渡英し、美術系の大学院サザビーズ・インスティテュート・オブ・アートに入学、現代美術史の修士号を取得する。1998年に渡米、結婚し娘を出産する。非認知能力育児に出会い、研究・調査・実践を重ね、自身の育児に活用。娘・スカイが18歳のときに「全米最優秀女子高生」に選ばれる。現在は、「非認知能力育成のパイオニア」として知られ、140名のBYBS非認知能力育児コーチを抱えるコーチング会社の代表を務め、全米・日本各地で子育てや自分育てに関するコーチングを展開中。

川良 咲子
1976年生まれ。1999年講談社に入社。「FRaU」で14年間ファッションと読み物記事を担当し「with」を経て、2015年に「mi-mollet」へ。2019年7月にミモレ編集長に就任。二児の母。2022年1月より国家資格キャリアコンサルタント。

<書籍紹介>
『人生・キャリアのモヤモヤから自由になれる 大人の「非認知能力」を鍛える25の質問』

著者:ボーク重子 ディスカヴァー・トゥエンティワン 1760円(税込)

変化の激しい不透明な時代に、キャリアへのモヤモヤを感じている方は多いはず。私たちが自分らしいキャリアを作るための武器は、偏差値やIQなどの学力として数値化できる認知能力ではなく、自己肯定感・自分軸・主体性・共感力など、数字で測ることができない能力「非認知能力」にある! そう教えてくれるのは、非認知能力育成のパイオニアとして知られるライフコーチのボーク重子さん。ポジティブ思考を身につけありのままの自分を受け入れる、「他人軸の自分」から卒業して人生の主導権を握る、「何となく+短期の人生設計」で、最高に自分らしいキャリアをつくるなど、ボーク重子さんの温かな声かけと共に、今の私たちに必要な「生きる力」「人間力」をコーチングしてくれる一冊!


イラスト:Shutterstock
取材・文/金澤英恵
 


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