ミモレでもおなじみのパリ在住エッセイスト・井筒麻三子さんが、4月14日に初の書籍『GOROGORO KITCHEN 心満たされるパリの暮らし』を刊行しました。日本にいた頃は、親に「結婚しないの?」と何度も言われ、自分でも「結婚しなきゃ」と、見えないプレッシャーを感じていた井筒さん。ところが、2014年からパリで暮らし始め、そこでフォトグラファーのYasさん(愛称ツーさん)に40代で出会い、結婚することになりました。Yasさんは井筒さんのYouTubeチャンネル「GOROGORO KITCHEN」では撮影や編集などを担当。ツーさんとして声だけで出演もしており、夫婦の日常会話は視聴者にも人気です。日本を出て、結婚へのプレッシャーから解放されたはずの井筒さんが、なぜ結婚を決めたのか。二人のなれそめからお聞きしました。

 

インタビュー第1回
「癒やされる〜」となぜか世界にファン続出!パリの日本人夫婦の“普通の暮らし”が愛される理由【井筒麻三子さんインタビュー】 >>

インタビュー第2回
「結婚してるの?」「何歳?」と聞かれない国で暮らしたら、ストレスから解放された【井筒麻三子さんインタビュー】>>

 


夫・ツーさんの第一印象は「おとなしくて変わった人」


井筒さんの夫・ツーさんは、YouTubeチャンネル「GOROGORO KITCHEN」を見ている人にはすっかりおなじみの存在です。ツーさんの本業はフォトグラファー&ビデオグラファーで、2010年にパリに拠点を移して活動を続けています。井筒さんとツーさんの出会いは、あるコーディネーターのお宅で開かれた食事会でのこと。集まったメンバーのうち、男性はツーさんひとり。ほぼ女子会のノリで大いに盛り上がったものの、ツーさんはそれを眺めているだけでした。

 

「集まったのはコーディネーターやライターさんばかりで、フォトグラファーのツーさんからすればみんなクライアント(仕事相手)。全員女性で盛り上がっていたけれど、お酒も飲まないツーさんは部屋の片隅でじーっとしていました。酔っぱらいながらも“あの人、何も喋らないしおとなしいなあ。なんで来たんだろう、変わった人だな”と思ってました(笑)」

ところがある時、井筒さんに人物取材の仕事依頼が舞い込みます。誰に撮影を頼もうかコーディネーターの友人に相談したところツーさんを勧められ、「あのおとなしい人〜」と思いつつ、仕事を依頼。

再度、今度は仕事として会ってみると、実は食事会で会った時の様子とは全く違い、自分の意見をはっきりいう人だとわかりました。そして4人分のポートレート撮影のために、計4日会うことになったのですが、毎回仕事のあとはすぐ解散せず「お茶しましょう」と誘うのです。

「カフェに行くと、1時間も2時間もツーさんがずっと喋っているので、それを私が“へー”とか言いながら聞く感じで。この人は、よっぽどカフェに行くのが好きなんだなあとしか思ってませんでした」

 

その後も何度か一緒に仕事をしたり、井筒さんが引っ越しをすることになった時に、手伝い要員として呼び出したりと、異性として全く意識することがなかったという井筒さん。

「年下との交際経験はありましたが、彼は12歳も年下だったので、そもそも恋愛対象として見ていなかったんですよね」