小さな心がけの連続が、いずれは大きな変化に。
苦しくない形で、最善を尽くしたい
自分が抱く“わくわく”感の先に、何かの犠牲があることを知り、「もう目をつぶれなくなった」という根岸さん。一生懸命に学び始め、知識が増えることで考え方がストイックになってしまったこともあったそうです。
「『もっと完璧にならないと』と思い込んで、変わって行っているはずなのに苦しんでいた時期もあったんです。それでも、やっぱり決心したことですからね。悩みながらも学びを深めて、知識を広げることを諦めませんでした。そうやって続けていたら、この世に完璧はあり得ないんだなって、ようやく思えるようになったんです。苦しくない形で、最善を尽くす。それでいいんだなって。肩の力が抜けたんですね、やっと。『素敵だな』ってお客様にわくわくしながら選んでいただいて、お買い物してもらったものが、少しでも環境に対して配慮されているものだったらいいな、そういう提案を続けていくことが大切なんじゃないかなって」。
そうやって実際にアクションしてみると、ロンハーマンの内側からもポジティブな取り組みが生まれ、その輪は、少しずつ、でも確実に広がってきているそうです。
「たとえば、ショップスタッフがすぐにでもできることとして率先して行ってくれたのは、無駄な電気を使わないようにするということ。商業施設の中だとなかなか難しさもあるのですが、意識的に消費電力を抑えるように取り組んでくれて。その結果が確実に数字にも表れている店舗もあるんです。納得してくれて、同じ温度感の危機感を抱いてくれて、ロンハーマンとしてお客様にもハッピーを届けたい、そう共感してもらえて……。“いいことをしたい”“未来にも幸せにつなげたい”という気持ちが少しずつ繋がって、みんなで意識的に行動できるようになってきていて、とてもいいムードです。いきなり大きくは変われませんし、大きなこともできないかもしれないけれど、小さな心がけも繋がっていけば、いずれ確かな変化につながることですからね」。
環境に負荷のないものを提案する、リユース(再利用)という観点でいうとヴィンテージアイテムを強化していくことも、大事な取り組みだということを再認識しているのだそう。そして、無駄を減らすこと。
「バイイングも見直しました。『適量って、どうかな?』って。私の若い頃の古い体質だと、完売するのはバイヤーとしては100点ではなかったんです。完売って、欲しいお客様がいらしてもその人に届いていない、それでは機会ロスになる、と。ちょっと残るくらいが上手な買い付けとされていたんですよ。でもそれでは毎度のように余剰を生むことになりますよね。シンプルに考えて、余分はない方がいいんです。一枚のTシャツが出来上がるのにも、長い時間とたくさんの人の手がかかっていて。農家の方が土を耕し、種を植えて、綿花が育って。それを紡いで、生地になって、縫製して……、と。それだけの手間と労力がかかっているものだから、もっと大切にしたいし、大切にすべきものだよねって」。
“大切に”という視点が光っているのが、ロンハーマンの別注品。例えば、ebureの大人気のオーガニックコットンのTシャツは、ロンハーマンの別注は草木染めを施し、さらなる特別感が加わっています。
ebureのTシャツは前身頃と後ろ見頃を縫い合わせ、袖までが繋がっているデザイン。実際に袖を通してみると、Tシャツならではのラフさが抑えられていて、優美な佇まいに。カジュアルが苦手という大人の女性に絶大な支持を集めているのだそう。
「服づくりの経験値がしっかりとあるブランドですから、変化して揺らいでいる大人の体にも安心して着られるTシャツに仕上がっているんです。美しいデザインとオーガニックのコットン、そこに草木染めならではの色の美しさを加えてもらいました。Tシャツだけれどサムシングスペシャルなものだったら、もっと気分も上がるかな?と、特別にオーダーしています」と、根岸さん。夏の日常が楽しくなりそうな華やかな色と光沢感をたたえたTシャツはブラウス感覚でも取り入れられそうな美しさ。お手入れもちゃんとして大切に着たくなる、そんな一枚です。
Comment