外国人が日本で生活するためには、「在留資格」というものが必要です。在留資格には期限があり、それが切れると、入管施設※に収容されることもあります。入管施設では2021年にスリランカ人のウィシュマさんが体調不良を何度も訴えたにも関わらず適切な処置を受けられなかった結果死亡したニュースを見て心を痛めた方も多いのではないでしょうか。さらに2022年にはイタリア人男性が自殺するという事件も起きており、職員による非人道的な対応が問題視されています。そして何らかの理由で収容が解かれた場合、「仮放免」という状態になります。
※入管とは、出入国在留管理庁のこと
明日には殺されるかもしれない、そんな命の危険から逃れてくる人々がいる
——入管施設に収容されたり、さらに仮放免になったりするのはどんな背景の人たちなのでしょうか?
大澤優真さん(以下、大澤):一つが難民と呼ばれる状態の方たちで、紛争などから逃れてきた人たちです。日本は難民認定率がとても低いので、難民申請をしても難民として認められないケースがほとんど。結果としてオーバーステイ(在留資格期限切れ)になって、入管に収容され、その後仮放免になります。
もう一つは、難民ではないんだけれど、日本にとても長くいるという人たちです。最初は働きに来たりして、その後日本で結婚をして家庭もあって子供がいたり、長年日本に定住していて母国に帰れない、帰ると生活できないという人たちがいます。親が外国人でも、自分は日本で生まれ育ったので、在留資格はなくても実質日本が母国という人たちもいます。
——帰国すると命の危険があったり、拘束される可能性がある人たちもいますよね。
大澤:日本に来たくて来たという人もいますけれど、多くの人はたまたま日本に来ているんです。例えば、アフリカの出身者の話では、母国がとても危ない状況で、軍がどんどん人を拉致監禁したり殺害していくんだそうです。家族も殺されたのか連れ去られたのか、次第にいなくなってしまって、周りがもう危ない、逃げろと言ってきた。彼は数カ国にビザの申請をしていて、たまたま最初に日本のビザが出て次にフランスのビザが出たそうです。母語がフランス語の方だったので本当はフランスのほうがよかったのでしょうが、本当に一刻を争う状況だったので、家や土地を売ってチケット代にして、小さい荷物とサンダルだけで日本に逃げてきました。
その頃ワールドカップ・カタール大会の開催期間中で、日本人がロッカーの清掃を行っていたという情報がアフリカのSNSでも出回っていたそうで、日本は親切な国だ、人権の国だという印象を持っていて。「日本に行けるなら、これでお前も生きていけるな」と周囲から祝福されて送り出されたんだそうです。だから、日本に着いてたまたま私たちに繋がり、最初お会いした時はすごく嬉しそうだったんです。でも日本では難民認定はほとんどされないという事実を伝えると、絶望していました。その時の顔を今でも覚えています。
——日本に逃れてくる方は、日本の難民認定率の低さや、仮放免の方が置かれる状況、入管施設の問題などは調べる余裕もないということですね。
大澤:母国の状況が日本では考えられないくらい危ないんです。今日殺されるかもしれない、明日殺されるかもしれない。毎日人が死んでいくんだといいます。みなさん、やっとの思いで日本にくるのだけれど、来てみたらとてもじゃないけど生きていけない、となるんです。そしてコロナの水際対策が緩和され日本への入国が容易になってから、そんな新規の難民の方がさらに増えています。
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