「あなたの子どもは、俺の子どもじゃないから」


珠美さんと勝也さん(仮名)は、仕事を通して知り合ったそう。彼は当時36歳だった珠美さんより5歳年上で、上場企業で順調に出世をしている、とにかく仕事ができる男性でした。

「だんだんと親しくなり、少しずつプライベートの話をするようになった時、彼も離婚調停中だと聞いて仲間意識みたいなものが芽生えたんです。で、これが私の厄介なところなんですけど、好感を持った男性には変に尽くしすぎちゃうんですよね。

調停がうまく進まなくて困っていると聞いて弁護士を紹介したし、離婚直後に色々と大変そうだった彼を支えたいと思ううち、手を貸しすぎてしまった自覚があります」

勝也さんの前妻は専業主婦で、2人のお子さんもいました。ゆえに財産分与や子供への養育費は月20万円、また引越しの負担などで疲れていた彼に、珠美さんは「とりあえず、私の事務所に住んだら?」と提案したのです。

「それなりのサラリーマンとはいえ、20万円の養育費を払っていたら月の手取りは30万円程度。そこから家賃を払うのも少し大変そうだな、可哀想だな。私ができることがあるならしてあげたい……という気持ちでした。都心に住む私と距離ができてしまうのも寂しくて。なら、好きな人を近所の仕事場の余った部屋に居候させるくらい、どうってことないと思ったんです」

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年上のバツイチの男性を居候させてあげる……という展開は驚きますが、珠美さんはそれだけバイタリティーのある女性なのでしょう。さらに「尽くしすぎてしまう」という言葉の通り、住む場所を提供しただけでなく、料理や掃除などの家事も珠美さんがしてあげていたそう。 

 

元妻が専業主婦、さらにギリギリ「団塊ジュニア世代」だった勝也さんはそれを甘んじて受け入れ、珠美さんは仕事・育児・さらに恋人のお世話で忙しくなっていきます。

「最初に違和感を持ったのは、この生活を始めてしばらく経った頃です。仕事でバタバタして手が回らなかったとき、余裕のありそうだった彼に子どもたちのお迎えを頼んだんです。もちろん彼らの面識はあります。週に何度かごはんを食べる仲で、学校から自宅まで徒歩10分程度の距離。

ですが彼は、『あなたの子どもは、俺の子どもじゃないから』と、あっさり断ったんです」