作家・ライターとして、多くの20代~40代の男女に「現代の男女が抱える問題」について取材をしてきた山本理沙。その赤裸々な声は、まさに「現実は小説より奇なり」。社会も価値観も変化していく現代の夫婦問題を浮き彫りにします。
今回お話を伺ったのは、離婚と事実婚解消を1回ずつ経験した3児のシングルマザー。波乱万丈の離婚劇を二度も乗り越え、現在は16歳年下の男性と順調に交際しながらも、「始まりがあるものは必ず終わる」と達観した様子で語る彼女が思う“夫婦”とは、どんなものなのでしょうか。
職業:飲食店経営
家族構成:高校生の息子と娘、5歳の息子のシングルマザー
恋愛体質だけど、結婚には向いてない
女性は肌と髪の手入れが何よりも重要で、それを保つことがアンチエイジングのコツだとよく聞きますが、珠美さんの放つ自然な女性的魅力はまさにその清潔感から来るものだと思いました。
メイクもファッションも装飾品も最低限、派手な印象もなく、美容に勤しんでいる様子もない。その無頓着さがかえって素材の綺麗さを引き立て、成熟した女性の色気となっているような印象です。最初は意外に思いましたが、16歳も年下の20代の恋人がいるというのも肯けます。
「これまでの経験を通して思うのは、人生は本当に何が起こるかわからないということ。あと、始まってしまったものは必ず終わるんだなって」
結婚、事実婚のパートナーとそれぞれ子どもを授かりながらも破局を迎えた珠美さんの言葉には、どこか重みを感じます。
「そもそも私は、結婚に向いていない人間なんでしょう。恋愛体質なので男の人を好きになったら夢中になるし、子どもが欲しいとも思う。でも、思えば“結婚したい”と積極的に思ったことはないんです」
しかし珠美さんは28歳で一度目の結婚をされ、2人の子どもを授かっています。
「あの頃の感覚は、今とはかなり違ったと思います。20代後半の未婚女性は周りにほとんどいなくて、私はいわゆる“売れ残り”という感じでした。当時は建築士として働いていて仕事に夢中だったので結婚願望はありませんでしたが、近いうちに結婚しなきゃいけないのだろうと漠然と思っていました。
そんな中、働いていた会社のクライアントの男性と付き合うことになったんです。すると上司に『コンプラ違反だから別れるか結婚するか選べ』と言われ、会社でちょっとした騒ぎになってしまって。仕事は辞めたくないし、別れるのも嫌で……周りの圧に押されて結婚することになりました」
珠美さんの元夫(崇さん・仮名)は田舎の次男で、とても穏やかな人。いずれ結婚するのであれば、その時点で特に不満はなかった崇さんを夫に相応しい相手だと思ったそうです。
「元夫は今でも関係は悪くないですし、“いい人”だと思います……でも、『穏やかでいい人』は、裏を返せば『あまり意志のない人』とも言えました」
結婚後、崇さんには致命的な欠点と、妻にとっては耐えがたい問題を秘めていたことが発覚するのです。
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