チャールズ英国王の戴冠式が無事、終了しました。日本と英国は戦前、日英同盟を結んだ間柄であり、日本の皇室と英国王室は親交が深いことで知られています。 英国のロイヤルファミリーは日本人にも人気ですから、テレビなどで戴冠式の様子を楽しんだ人も多いのではないでしょうか。
今回の戴冠式は新国王の意向もあり、できるだけ簡素に、かつ多様性を重視する形で行われました。
説明するまでもなく英国王室の宗教は国教会ですから、戴冠式も国教会の儀式ということになります。以前の戴冠式では他宗教の幹部はもちろんのこと、同じキリスト教でもカトリックの司教が参加することもありませんでした。
今回は、カトリックやイスラム教、ヒンドゥー教、ユダヤ教など、国教会以外の信徒が国王の衣装や指輪を運び、宗教を融合する形で式典が執り行われました。現首相のスナク氏は、英国史上初のヒンドゥー教徒の首相ですから、その点においても多様性が十分に発揮された戴冠式だったといってよいでしょう。
かつては男性に限定されていた国教会の要職には女性が多数、登用されており、戴冠式における重職を女性が担うのも今回が初めてだそうです。
前回と比較すると、かなり簡素になったということですが、伝統あるウェストミンスター寺院での式典や、260年前に作られた黄金に輝く馬車(ゴールドステートコーチ)によるバッキンガム宮殿までの移動など、ため息が出るような美しさでした。
日本は英国と同様、民主国家でありながら王室(皇室)を持つ数少ない国の一つであり、日本の皇室は国民からの人気も高いですから、多くの日本人が、ごく自然にチャールズ国王の即位についても祝福していたのではないかと思います。ところが、各国の反応を見ると必ずしもそうではなかったようです。
英国はコモンウェルスと呼ばれる英連邦を形成しており、チャールズ国王は英国のみならず15カ国の元首を兼ねています。
連邦各国の人たちが日本人と同様、チャールズ国王の即位を心から祝福しているのかというとそうではなく、主要国のひとつであるカナダでは、国民の約半数が王政そのものに反対しています。同じく英連邦主要国の一つであるオーストラリアでも、多くの人が君主制を廃止し、米国と同じような共和制に移行すべきと考えており、即位に対するメディアの扱いも批判的で冷淡なものが多かった印象です。
カリブ海諸国やアフリカ諸国にも、英国の植民地として出発し、その後、立憲君主制に移行した国々があります。こうした国々には、植民地時代の統治について快く思わない人が一定数存在しており、一部では共和制への移行が検討されている状況です。
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