【お悩み②】反抗期がない!?このまま仲よし親子でいられる?

思春期なのに反抗期がない!?“友達親子”で育った子が大人になって経験する苦難とは?_img3
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母親からの質問「ちっとも反抗期じゃない娘。恋愛のこともなんでも話してくれます。このまま仲よし親子でいたいのですが、反抗期が遅れて来ることもありますか?」

大下ドクターからの回答「脳科学的見地では思春期は30歳まで。“遅い反抗期”はあり得ます」

残念ながら、成人式を挙げたからといって脳が大人になっているわけではありません。アメリカ国立精神衛生研究所が実施した21歳までの脳の発達を調べる大規模な研究では、10代の脳のつながりの完成度は80%程度で、完成に至るのは20代後半〜30歳くらいとしています。つまり、脳科学的見地では、思春期は30歳まで続くということです。

 

最近では、反抗期がないまま、10代を終える子は珍しくないんですよ。2016年に明治安田生活福祉研究所が10代後半〜20代の若者583人に行った「親子の関係についての意識と実態に関する調査」では、「反抗期と思える時期はなかった」は、女性35.6%、男性42.6%とともに高率でした。いい子のまんま大人になる若者が増えた背景には、親子の密着が指摘されています。子どもの数が減って核家族化が進み、いわゆる“友達親子”が増えました。就職しても実家で暮らしたがる子が多く、母親のほうも夫よりも子どもといるのが楽しくて、手もとに置いて抱え込んでしまいがち。すると、子どもはいつまでたっても大人になれません。

動物は自分でエサを手に入れられるようになったら親のもとから巣立ちます。人間も本来、そうあるべきです。高校を卒業したら、子どもは家から追い出したほうがいいのです。親離れ、子離れできない共依存の支配関係はいずれ破綻します。成人してからの反抗期は10代の反抗期よりもずっと深刻だという専門家もいます。