ここからは資格ソムリエの林雄次さんに、アパレル販売員のスキルや経験を生かした「かけ算」を考えていただきます。

<プロフィール>
林雄次(はやし・ゆうじ)
資格ソムリエ®

自身の知識欲から在学中より資格取得に励む。大学卒業後は大手企業にてITエンジニアに。在職中に取得した社労士資格をもとに、エンジニア経験をかけ合わせることで、IT社労士として独立。現在では中小企業診断士など300を超える保有資格を活かし、資格の活かし方やブランディングについてアドバイスを行う『資格ソムリエ』として活動中。Webメディアで資格に関する記事を連載中のほか、ビジネス誌などでも多数取材を受けており、ライフキャリアに沿った資格取得のアドバイスは好評。最近取得した資格はアロマテラピー検定1級。


接客から店舗の管理、情報発信など、幅広い仕事を行うアパレル販売員。今回はその仕事内容を因数分解して、アパレルに関係する仕事から、一見すると全く関係がないように見える仕事まで、幅広いかけ算を考えてみました。

ご用意したのは7個の「かけ算」です。これらのかけ算を見ていくことで、アパレル販売員の仕事の魅力や特徴を再発見できるかもしれません。
 

 

<かけ算1>
アパレル販売員×パーソナルスタイリスト検定=洋服サブスクサービスのパーソナルスタイリスト

 

アパレル販売員の特徴的なスキルとして思い浮かぶ「スタイリング」。色やデザインの好み、体型の悩み、着用シーンなど、さまざまな情報を踏まえながら最適な洋服を提案するスキルは、パーソナルスタイリストとして活かすことができるでしょう。

ここでポイントとなるのが、“洋服のサブスクリプションサービス”のスタイリストであること。すでにご存知の方も多いと思いますが、近年、自分の好みに合った洋服が自宅に届き、それらをレンタルしながら、気に入った洋服は買い取ることができるサービスが増えています。それに伴い、サービスに携わるスタイリストのニーズも増加。在宅勤務ができる求人もあるため、家庭の事情に合わせながら、アパレル関係の仕事に従事することも可能です。

これまで現場で培ってきたスキルに加えて、ファッションについてのアドバイス力を高められる「パーソナルスタイリスト検定」や、お客様に似合う色の提案を理論と技術の両面から身につけられる「色彩技能パーソナルカラー検定」を取得するのもおすすめです。
 

<かけ算2>
アパレル販売員×ライティング×Excel×SEOの知識=アパレルメーカーのEC担当

 

コロナ禍を経て、さまざまな企業がECサイトの運営を活発化させてきました。アパレルとECサイトの運営も相性が良いもの。ファッション業界の経験や洋服に関する知識を活かしながら、ECサイトの運用担当者として仕事をする道も考えられそうです。

ECサイトの運用担当者として、まず必要となるのが、さまざまな数値の管理で使用するExcelのスキルです。数字の合計を手早く算出できる関数など、一般的によく使われるものを覚えておくと便利です。「マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)」という資格でExcelなどの細かい機能を学べるほか、最近はYouTubeやInstagramといったSNSで、Excelの便利な使い方をレクチャーしている動画も多いため、そのようなツールを使って学ぶのも一案です。

また、ECサイトの運営では、InstagramなどのSNS運用やメールマガジンの作成といった業務も発生します。日頃からSNSを利用していることが強みになりますし、ブログを書いた経験もメールマガジンの作成で十分に活かせるはずです。特にここ数年は、ECサイトの売上向上を目的として、インスタライブなどを活用したライブ配信に取り組むブランドも増えてきました。ご自身がライブ配信を視聴したことがあれば、配信内容の企画などでも、視聴経験やファッションの知識を活かすことができるでしょう。

とはいえ、ECサイトの運営は、非常に奥が深い仕事です。商品の仕入れから在庫管理、数値管理、Webマーケティング、SEOなど、実は幅広い知識が必要となります。もし、そのような知識を一気に学びたい場合は、「ネットショップ検定」という資格を使って勉強するのもおすすめです。ECサイトの構造からマーケティング、受注管理、クレーム対応も含めた顧客対応の知識まで、ECサイトの運営に必要な知識を網羅的に学ぶことができます。また、SEOについては『SEO検定』という資格があります。初歩的な4級から専門的な1級まで、必要なレベルに応じた内容を学ぶのに役立ちます。

ECサイトの運用に役立つスキルや知識があれば、転職はもちろんのこと、社内での職種転換を考えることも可能。キャリアの選択肢を増やすことができると思います。