あらゆるエンタメが詰まった“芸能界”漫画『推しの子』。4月12日から、アニメ版が放送開始したことにより、さらに勢いが増してきています。赤坂アカ×横槍メンゴの豪華タッグによる衝撃作は、なぜこんなにも人々の心を掴んで離さないのかーー。じっくりと、考察していきたいと思います。
※本稿は、作品の重要な展開にふれています。未見の方はご注意ください。
アニメ成功の理由は、異例の“放送時間”にあり?
『推しの子』は、アイドルグループ・B小町のアイが、双子を出産したことをひた隠しにしながら、スターダムを駆け上がっていく物語……だと思っていました。主人公はもちろんアイで(原作漫画の1話でも堂々の表紙を飾っていたし)、ファンに秘密がバレないようにハラハラしながら、アイドルと子育てを両立させていくんだろうな〜と。
ところが、本当の主人公はアイの息子のアクアなんです。アイのファンだった産婦人科医・ゴローの生まれ変わりで、前世の記憶が残っているアクアは、“推し”を前にしてドギマギ。「なんだ、夢物語かよ!」と思った方(私もそうでした)、ここから180度印象が変わることになります。
なんと、アイは序盤で熱狂的なファンに殺害されてしまう。つまり、本作はアイ殺害の真相を暴く双子たちの“復讐劇”。めちゃくちゃサスペンス寄りの作品なんです。
アニメの1話といえば、だいたいが30分程度で終わりますよね。拡大スペシャルで60分やることもあるけれど、『推しの子』のように初回90分というのは、異例中の異例。でも、90分かけてじっくり描いたからこそ、こんなにも多くの人を惹きつけることができたんだと思います。
もしも、30分ごとに区切っていたら、作品へのイメージが大きく変わっていたはず。もしかしたら、1話で視聴をやめてしまった人もいるかもしれない。のちのち、「3話まで観てみて! ヤバいから!」って話題になりそうだけど、ここまで勢いが出たのは、1話でアイの死を描いてしまったからだと思います。
あと、YOASOBIさんが歌う主題歌「アイドル」も最高ですよね。1度聴くとやめられない中毒性があって……! 赤坂アカさんによる書き下ろし小説「45510」も歌&作品にリンクしているので、ぜひこちらもチェックを!
大人も共感できる? 高校生たちの人生観
「人は謝ってる人に群がるんだよ。謝ってるってことは、悪いことをしたって認めたってことでしょ? 悪いことをしたなら、石を投げていいよね? そんなふうに」
「嘘は、身を守る最大の手段でもあるからさ」
「皆、自分だけは例外って思いながら、しっかり人を追い込んでるのよ。何の気無しな独り言が、人を殺すの」
などなど……。
『推しの子』には深い台詞がたくさん登場します。10代の頃から芸能界で仕事をしている彼らは、高校生だからといって子どもではない。人生を達観しているというか、いちいちハッとさせられるんですよね。
また、恋愛リアリティーショー編や、2.5次元舞台編、スキャンダル編などを通して、芸能界の裏側をリアルに描いていくのも『推しの子』の魅力。アニメを観るたびに、「うわ、はやく続きが観たい!」となってしまうので、私は原作の履修を始めました……! 現在11巻まで発売されているのですが、さらにヤバい展開になっていきます。まさかの人物がアクアとルビーの父親候補として登場したり(小声)。
とにかく、少しでも気になった方は、アニメの第1話を観てほしい〜! さまざまなサイトで配信されているので、詳しくはこちらをチェックしてください。
前回記事「今期1番の名作と確信!ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』が教えてくれる、しんどさを笑いに変える方法」はこちら>>
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