「夫が浮気しても、傷つかなかった」
都心の生まれの小学校から女子校育ち、新卒で有名弁護士事務所の秘書として就職し、事務所内の弁護士先生と27歳で結婚・寿退社をした後に、30歳で出産をしたという静香さん。
まるで非の打ちどころのない、いわば女の花道のような人生を歩んでいると思ってしまいますが、一体何が不満で「ぜんぶどうでもいい」などと思うのでしょうか。
「まず、あれ? と違和感を持ったのは、結婚して間もない頃です。夫は同じ事務所内の弁護士でしたが、1年ほど交際して結婚し、私は寿退社して専業主婦になりました。しばらくすると、夫のスーツから甘い匂いがしたり、不自然に帰宅が遅い日が続いたりしたんです。
何だか嫌だなあと思いつつ放っておいたら、ある日彼のスーツの内ポケットに生理用ナプキンが入っているのを発見してしまって」
それは恐らく、相手の女性が自分の存在を主張したくてしたことだろうと静香さんは言います。そして、事務所で働いている秘書の元同期に連絡をしてみると、彼女は気まずそうな様子で、静香さんの夫と新卒1年目の秘書の不倫が噂になっていると教えてくれました。
「違和感というのは......夫の浮気ではなく、浮気を知ったというのに、私が特に傷つかなかったことです。悲しいとか怒りみたいな感情が別にわかなくて、全然ダメージを受けなかったんです。ドラマとかだと不倫された妻って絶望して崩れ落ちるイメージがあるし、私だって昔は彼氏に浮気されたり、別れたときはこの世の終わりみたいに落ち込んでたのに。このときは『ああ、間違った人と結婚しちゃったのか』くらいにしか思いませんでした」
ちなみに交際中も結婚後も、静香さんと夫の生活は順調だったそう。同僚として接する中で彼に好意を持ち、交際し結婚を意識するようになり、実際に結婚に至るまで何も問題はありませんでした。大きな喧嘩をした記憶もないそう。
お互いの家庭環境も似ており、義実家との関係も良好、彼は基本的に温和で真面目な男性だと、少なくとも静香さんは認識していました。
「浮気を知っても、特に何かする気が起きなかったので放っておきました。すると相手の女性の匂わせ行為がだんだんエスカレートして。口紅のシミとか長い髪の毛が夫についているのはしょっちゅう、私のSNSにも不審なコメントがついて、そのアカウントを覗きにいくと、明らかに夫のシルエットが映った写真が投稿されてたりしました。
それでも、なぜか『面倒くさいな』くらいにしか思わなくて。でも変な対抗意識をぶつけられ続けるのが嫌で、夫に一言だけ『この人怖いから何とかしてくれる?』と言ったんです」
その後、“匂わせ”行為はピタリと止み、夫は浮気相手と別れたそう。彼はわざとらしく静香さんの機嫌をとったり、良き夫としての振る舞うようになりましたが、そこで妻は、ある事実に気づいてしまったのです。
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