世は空前の推し活ブーム。中でも、ここへ来てにわかに“アイドル”がトレンドのキーワードに。6月5日には、リリー=ローズ・デップとザ・ウィークエンド主演の米ドラマ『THE IDOL/ジ・アイドル』が、日本でもU-NEXTで配信スタート。それとほぼ同タイミングで、日本のアーティストYOASOBIのシングル『アイドル』が全米チャートで首位を獲得したのは、出来過ぎとも言える出来事でした。どちらも、アイドルという虚構の偶像の、闇を描いているのが共通点なのです。
『THE IDOL/ジ・アイドル』は、リリー=ローズ演じる、セックス依存気味でメンタル崩壊寸前の若手ポップスターのジョスリンがヒロイン。そして『アイドル』は、人気アニメ『推しの子』の主題歌であり、アイドルの世界のキラキラと裏側を描いた曲。そして日本のアイドル業界では、今まさに、業界関係者による支配と性的搾取の問題が、注目を集めているさなか。
果たしてこれは、偶然の一致なのでしょうか。
ある調査によれば、2022年の推し活市場による「アイドル」ジャンルの市場規模は、1500億円以上(※)。ますます膨らみ続けるマーケットで、表舞台に立つ“推し”たちの裏側の事情にまで皆の目が向くのは、自然な成り行きなのかもしれません。
『THE IDOL/ジ・アイドル』では第1話の冒頭で、マネージャーが情緒不安定はお金になる、という話をします。
「情緒不安定はセクシー。大衆にセックスやドラッグを見せるのよ。ジョスリンは田舎では出会えないような高嶺の花の存在だけど、メンタルが病んでいたら、あなたとも寝るかもと思わせる。だから情緒不安定はセクシーなのよ」。
そしてジョスリンの手首に精神病院の入院患者がつけるリストバンドを着けさせて、アルバムのジャケット撮影をするのです。ハリウッドでは人気を得るためにLGBTを偽装する“ファッションLGBT”があるとは聞いたことがあるけれど、“ファッションメンヘラ”もあるなんて。衝撃を受けました。
Comment