あなたが持っているものを「持てない人がいる」

私たちの人権は「わがまま」ではない。耳が痛いアドバイスを聞き入れ「人権のレンズ」で物事を見る【藤田早苗さん】_img0
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――人権と特権を混同してるわけですね。特権が自分にあるっていうそもそもの自覚がないから、そういう発想になると思うんですよね。

 

藤田 マジョリティはマイノリティの足を踏みつけて、社会を生きているという側面がある、っていうことを認識してない。だからマイノリティから「踏みつけている足をのけろ」と言われたときに反抗するんだと思います。持っている特権を自覚していないという意味では、バリアフリーの問題もそうです。鉄道会社が、障害者のためのバリアフリー化をするので運賃を上げます、と言ったんです。そういう言い方をすると、健常者はなんで自分たちが払わないといけないんだ! って反発しますよね。でも、そもそもバリアフリーとは健常者というマジョリティが作ってきたバリア、障壁を除くためだけのものですよね。自分たちがそのマジョリティ側の特権を持つことに対してあまりにも鈍感だし、考え方を見直さなきゃいけないんじゃないかと思います。

――マイノリティが権利を主張すると「声が大きい」といって潰されたり、格差を是正しようとすると「過度の平等」とか、「行き過ぎたマイノリティの主張」なんて言われてしまうんですよね。でも、そもそも前提の認識が違うと思うんです。マジョリティは自分たちに特権があって、「当たり前に持ってるものを持ってない人たちがいる」っていうことがわからないから、マイノリティがちょっと主張しただけでも、「うるさい」「わがままだ」みたいな反応になるのかなと思います。

藤田 この前あるインタビューで、「わがままと人権を主張することの違いは何ですか?」って聞かれたんですけど、そもそもわがままの定義を教えてほしいと逆に聞き返してしまいました。そこには、あなたが持っているものを“持てない”人がいる。その人たちが、あなたたちと同じようになりたいって主張しているのに、お前は黙ってろということこそがわがままちゃうの? って思うんです。