キーワードは細分多様化、絶対的なアイコンは存在しない


——SHIBUYA109 lab.が行っている「トレンド予測2023」を拝見しましたが、何が何だかわからなくて、ほとんど暗号でした笑。トレンドもすごいスピードで移り変わりますよね。企業側もついていくのが大変だろうなと思います。

長田:毎月トレンド速報を作るために今何が流行っているか聞きますけど、毎月何か知らないものが出てきます。2週間とかで飽きちゃったりするんです。地雷系の子のトレンドと、フレンチガーリーが好きな子のトレンドって全然違うし、それぞれもお互いのトレンドを知らないんです。同じフレンチガーリーの子たちを呼んで、どのインフルエンサーを参考にしたかを聞いても、それぞれ違うので、誰それ知らないってなるんです。ここがメインストリームと言える一番イケてる界隈というのがあるわけでもなく、それぞれで楽しんでるという感じです。

——SHIBUYA109を大幅にリブランディングされたそうですね。どのように変わったのでしょうか。

長田:SHIBUYA109の最盛期が90年代後半の95年から98年ぐらいでした。その時はもう全館ギャルの聖地だったので、ギャル向けの服のショップが多かったんです。今のSHIBUYA109はギャル系もあるけど、量産系もあるし、ストリート系もある。 全部見て回ったらそれぞれの界隈のトレンドがわかるぐらい、色々なファッションテイストのショップが入っています。昔はみんながカリスマギャルショップ店員に憧れて、その人たちが絶対という時代でした。例えばアムロちゃんが着たものを全部みんなが着るという風に、絶対的なアイコンが存在したんです。でも今はそれぞれに全然違う神がいて、細分多様化しています。

企業の考える「若者像」は10年前で止まっている?SHIBUYA109は大幅にリブランディングされてどう変わったのか_img0
©️SHIBUYA109ENTERTAINMENT

長田:みんなSNSでトレンドを収集しているので、買い物に来るマインドも昔とちょっと違うんです。事前にもうある程度確認している商品の実物を見るためにお店に行く。そうなると買い物する環境を変える必要があります。買い物だけだったらどこでもできてしまうので、買い物以外の体験を提供していかなきゃいけない。昔だと飲食店はほとんど入ってなくて、7階にレストランがあったぐらいでしたが、今は地下2階に写真を撮影できるスペースがある飲食フロア「MOG MOG STAND」があります。あとは今若い子が一番お金を使うのがファッションよりも推し活だったりするので、KーPOPのアイドルやアニメ、2.5次元などいろんなカルチャーのポップアップストアがあったりします。今の若者が楽しめるファッションのファッション以外の場所を詰め込むというのが、リブランディングの大事なところでした。

 

——今はカリスマギャル店員はいないんでしょうか?

長田:そうですね。ネオカリスマギャル店員みたいな方もいるんですけどでも、今は昔のようにカリスマギャル店員さんが引っ張っていくという感じではなくなっています。