「閉経したら、セックスとは無縁」だと思っていませんか?
しかし今や、閉経後の人生が30年、40年と続く長寿社会。セクシャルアクティビティは、人生の質を左右する大切な要素と考えられるようになってきました。
セクシャルウェルネス用品を多く手がけるTENGAが2021年に「ミドルエイジの『性』講座」としてまとめたレポートの中で、35~79歳の男女500名に「性生活を何歳までできるのが理想ですか?」と質問をしたところ、4人に1人が「生涯ずっと」と回答しています。
セクシャルアクティビティは、なにも「挿入のあるセックス」だけを指すわけではありません。スキンシップや好意を抱く相手に近づきたい気持ち、それをモチベーションにアピアランスケアに勤しむなど、幅広い要素が含まれます。そして、そういった性活動を維持している人のほうが健康寿命は長いというデータもあるのです。
今回は泌尿器科医の関口由紀先生と、TENGAで広報を務める西野芙美さんにお話を聞きながら、ミドルエイジからの性生活と健康について考えていきます。
ホルモンバランスが原因? 女性の性の喜びのピークはなんと66歳!
「アメリカの情報誌『ニューズウィーク(2018)』によれば、女性のセックスの喜びのピークは66歳と言われています(ちなみに男性は64歳)」
そう話してくれたのは、多くのミドルエイジ女性の性やフェムゾーンの悩みに寄り添う泌尿器科医の関口由紀先生。驚くことに、性欲はむしろ閉経後に上向く人が多くいるというのです。
「はっきりした要因はわかりませんが、ホルモンと、セックスやコミュニケーションの習熟度に関係しているのではないかと思います。
女性はもともと女性ホルモンとともに、少量ながら男性ホルモンも持っています。閉経で女性ホルモンは約10分の1に減少しますが、女性の体内に少量出ている男性ホルモンは、約3分の2になるだけなので、結果的に男性ホルモン/女性ホルモンの比率が相対的に高くなります。男性ホルモンは性欲を司っているので、女性の中には、性欲が高まる人もいます。
これは別に悪いことではありません。性欲は生きる意欲と相関していますし、男性ホルモンには骨や筋肉を維持する働きもありますので、更年期以降の女性のフレイル予防にも男性ホルモンを保つことは重要です」(関口先生)
前出のTENGAのレポートでは、50代でセックスをしていると答えた女性のうち23%が「7年以上ブランクがあったがセックスを再開した」と答えています。子どもの手が離れて夫婦時間が増える50代から、セックスを再開しようという方も多いのかもしれません。しかし、こういった性へのスイッチが入るのは、ベースのテストステロン(男性ホルモン)の血中濃度の維持があって、はじめて起こることです。
Comment