時代の潮目を迎えた今、自分ごととして考えたい社会問題について小島慶子さんが取り上げます。

出ましたグローバルジェンダーギャップ指数ランキングの最新値。日本は過去最低の146カ国中125位。世界でも最も男尊女卑の著しい国の一つとして、すっかりその不名誉な地位を確立してしまいました。暮らしているとそんな実感ないって? 別に普通じゃん、むしろ女子の方が強いじゃんって。そうね、その感覚がまさにこの状況を生み出しているんじゃないかしら。

 

その日、私は朝からハマグリを掘っていました。友人親子に誘われて、人生初の潮干狩りをしていたのです。女陰の隠語でもあり、ひな祭りの吸い物など古くから何かと女と因縁づけられているハマグリ。大変美味で、私も大好物。浜では干潮を狙い、腰に貝を入れる網袋を下げた貝掘りの民がすでに大勢海に入っています。半信半疑で波打ち際の砂を掘ると、おりますおります、あの丸々と美しい貝が、砂の中にたくさん埋もれておりました。もちろん、自然に湧いたものです。

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ああ、世界はハマグリに満ち満ちている。水産資源の乱獲に加担しているかもしれないという罪悪感を覚えると同時に、もっと人口の少なかった時代の浜の豊かさを思わずにはいられません。掘れば食べ物が出てくるという豊穣。そりゃ自然を神様だと思うよね。