スタイリスト福田麻琴さんが、身の回りの”愛するモノ”について語ります。

 
 

シミのついてしまったシャツ、汚れが落ちないカットソー、色褪せた元黒のカーディガン、カラフルなスカーフ……。
もう使わないのはわかっているけど、捨てられないものってたくさんあります。
だって、シャツやカットソーはシミや汚れがあるものの、作りとしてはまだまだ十分に着られるし、カーディガンなんてすんごいお気に入りのブランドでボタンも取れていなければ、穴も空いていない。カラフルなスカーフだってやっといい感じに柔らかくなってきて肌触りは最高なのに……。
それをポイっとなんてできない!
もったいない精神か、ただのケチ心かは分かりませんが、いつもモヤモヤと溜め込んでいたモノを、この京都紋付が一気に解決してくれたんです。

 


出会いは通販のフェリシモのサイト
kuronicle(クロニクル)というプロジェクトで知りました。
「好きだったけど、もう着られない服。捨ててしまう前に、黒に染めなおしてみませんか」

まさに今の私じゃないか!
このコンセプトにズキュンと胸打たれ、さっそく申し込んでみることに。
最初は真っ白無地のシミのついたシャツとカットソーを出しました。
一体どんな風に仕上がるんだろう……。
忘れた頃にあがってきたのは深い深い黒色のお洋服達。
さすが100年間黒にこだわり、黒に染め続けてきた会社です。
その深い黒にも感動しましたが、心なしかシャツもカットソーも肌触りが良くなっているような。しっとりと柔らかく、出す前よりずっといい。
そんな風合いも含めて気に入っています。

染まるのは天然素材だけ。このシャツの糸は化学繊維が入っているのですね。これはこれでステッチみたいで可愛い!
 

定期的に必要なものとそうじゃないものを整理することは大事なことだと思っています。
今の自分の心を知る大きなきっかけを作ってくれるから。
今までは必要、不必要のふたつに分けていたものを、そこに“染め直す“というアイデアが加わりました。
SDGs12番目の「つくる責任、つかう責任」。お洋服にまつわる仕事をしていると、何にも貢献できていないように感じて寂しくなることがありますが、こういう素敵なリユースのアイデアを見つけてみなさんにご紹介できるのはとても嬉しい!
ファッションのこと、オシャレのこと、私たちにできることはまだまだありそうです。
日本の伝統を守ることにも繋がるし、染め直すというアイデアは本当に素敵なことだなぁと心から思っていますが、唯一心配なのは、10年後もはやクローゼットに黒い服しか残っていないんじゃないかってこと(笑)。
それでも真っ黒な魔女みたいになって、まだまだ染め直しをおすすめしているかもしれませんよ。ヒーヒッヒ!

http://www.kmontsuki.co.jp/


写真・文/福田麻琴
 


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