写真:Shutterstock

せんだってアメリカの雑誌「TIME」が写真とともに伝えた「日本は男性の大臣を送り込んできてまっせ、女性をエンパワーメントする会議に」の記事。あまりのみっともなさに驚いたわけですが、今日はこの写真が今の日本を見るうえで、あまりに象徴的だというお話を。

私はそこそこ長く生きていますが、政治を中心に経済から社会から日本のあらゆることがここまでめちゃくちゃになっているのは初めての経験です。これから先の日本に夢や希望が全然持てないし、こうやって書いた記事がヤフーあたりに転載されたら「じゃあ日本から出てけ!」とかいうクソみたいなコメントがつくことも手に取るようにわかるし、いまさらながらじくじく英語の勉強始めたりする自分に「20年おせーよ!!!」とか思うし、ううううもやもやするーーー! となりながら、もやもやついでに、ふと、ついうっかり「日本 最下位」とググってみちゃった時の衝撃(やるな)。

 


「G7の中でGDP最下位」「G7の中でジェンダーギャップ指数最下位」「27の富裕国(そこから怪しい)で科学工学を目指す学生の割合が最下位」「男女の経済格差がOECD加盟国で最下位」「職場の幸福度が最下位」「G7の中で労働生産性が最下位」「世界のIT投資マインド・ランキングで最下位(投資なんてする?)」「G7の中の日本の女性役員比率が断トツ最下位」「公財政教育投資のGDP比がOECD加盟国で最下位」「世界人助け指数で144か国中最下位」「報道の自由度ランキングがG7の中で最下位」「一人当たりの実質賃金の伸び率がG7で圧倒的な最下位」……。

気がふれそうになります。「わざと最下位ばっかり並べて日本を貶めてる!」とキレ気味の方には、別途「日本 世界一」を検索していただき、データの裏付けのない情緒的な「日本スゲー」でご自由に陶酔いただくとして、さておき。

私はあの「TIME誌」の「日本が男の大臣送り込んできてまっせ」の記事とあの写真――カラフルな各国の女性閣僚たちの真ん中に、平気な顔して議長として立つドラえもん色のスーツの女性活躍・男女共同参画担当大臣の小倉將信の姿に、ほんとにがくーんと打ちひしがれました。

世界の常識では(というか普通に考えれば)「女性に関することは、一番わかっている女性が仕切る」のが、痒い所に手が届くって意味で効率的だし効果的なのに、日本の政治、特に国政においては、女性に任せることはいまだかつてありません。スーツ姿で似たような笑顔浮かべたおっさんたちが「これコピペで作った画像ですか?」って感じで雁首並べる「女性活躍系の委員会」「ジェンダー平等系の会議」の集合写真を当たり前のように見せられてきたわけです。
そんなわけで小倉大臣は、自分だけが男性であることなんて気にもせずに、いやもしかしたら知っていてもそのことになんの疑問もなんの恥ずかしげもなく、この場に赴いたんでしょう。そして海外メディアに「唯一の男性代表であることをどう思うか」と聞かれ、無邪気に「男女平等に強い熱意を持った男性リーダーが依然として必要とされている」と答えたわけです。
その言葉は、この会議の議長が日本だったために「女に味方してやる男のリーダーが、女の地位を引き上げてやる」というようなニュアンスも帯びちゃっています。その発想自体が言うまでもない「男性優位社会」そのものだっていうのに。

普段生ぬるく味方してくれる日本のマスコミと、政治に無関心ゆえに明らかな嘘も冷笑スルーしてくれる国民しか相手にしておらず、「うん、よし! この理屈で、この場はモワッと逃げられるな!」とか思ってるんだとしたら、日本の政治家の劣化すげえとしか言いようがないんですが、海外のプレスがそんなんで納得してくれるわけもなく。全世界が「日本が言う『女性活躍』『男女平等』は、ただのお題目」だと思ったであろうことは間違いありません。

 
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