作家・ライターとして、多くの20代~40代の男女に「現代の男女が抱える問題」について取材をしてきた山本理沙。その赤裸々な声は、まさに「現実は小説より奇なり」。社会も価値観も変化していく現代の夫婦問題を浮き彫りにします。

今回取材を受けてくれた弥生さん(38歳・仮名)は、結婚生活約13年、可愛い男の子にも恵まれ夫婦仲も良好。しかし10年以上もセックスレスに悩み苦しんでいました。セックスレス解消のため、できることは一通りトライしたと言いますが効果はなし。最終的に彼女が解決法として選択したのは、最近じわじわと耳にするようになった女性用風俗(通称・女風)でした。

「10年セックスレス」に耐えかね、妻は“女性用風俗”へ...妻が「もうできない」と夫に絶望した行為とは_img0
 
取材者プロフィール弥生さん(仮名)38歳
職業:フリーランス
家族構成:夫、8歳の息子
      
 


二度とセックスしないまま、おばあちゃんになって死ぬの?


最近、様々な場所やメディアで少しずつ、確実に耳にするようになった「女性用風俗(通称・女風)」。

その用途は実に様々だそうで、単純な性欲解消だけでなく、パートナーとのセックスレス克服のための指導、男性恐怖症や性的トラウマの克服、処女を卒業するため、また婦人科系の病後のリハビリとして使う女性もいると聞き驚きます。

フェムテックの発展やセルフプレジャーも前向きに捉えられるようになり、女性の性欲が肯定され始めた風潮は良いことだと思いますが、お金を払い性的サービスを受けるという経験が女性にもたらすのは、実際どういったものなのか気になります。

「私は27歳で出産してから、10年以上も夫とセックスレスでした。女盛りと言える時期に、性的なことはほぼせずに過ごしたんです」

そう口を開いた弥生さんは、良識あるキャリアウーマンという印象で、定期的に風俗を使っていると聞いたときは驚きを隠せませんでした。

「最近セックスレスのドラマも流行っていましたが、レスは本当に辛いです。最初の数年は、どうして夫は私を女として見てくれなくなったのか、浮気でもしてるんじゃないか、とか、夫に猜疑心や怒りや悲しみなど、いろんな感情が湧いて、我慢できなくなってぶつけては解決できずにさらに落ち込む、というのを繰り返しました。

でも、それを過ぎると、今度はひたすら虚無感を感じていました。うちは夫婦仲は決して悪くないんです。私は夫が好きだし、彼も私を大切に想ってくれているのはわかる。でもだからこそ、身体で繋がれないのが悲しい。できる限りのことを試しましたが、夫とのレスの解消法はもうないと思ってます。別にもういいんです」

冷静に淡々と語る弥生さんですが、その落ち着いた様子から、かえって過去の辛さがよく伝わりました。きっと本当に様々な思いを抱えて、折り合いをつけた上で、女性用風俗を使うという選択に至ったのだと思います。

「セックスしなくても人は死にませんよね。しなくて平気なら、別にそれでいいと思おうと何度も自分に言い聞かせました。でも、10年間ずっと頭の中でこんな声がどうしても離れなかったんです。

このまま、もう二度とセックスしないまま、おばあちゃんになって死ぬの? って」