レスの理由は、夫の性欲減少?


弥生さんご夫婦は、もともとは飲食系の会社の同期で、社内恋愛を経てご結婚されました。就活時代からが仲が良かったという夫は、とにかく優しく誠実な男性。弥生さんは妊娠をきっかけに会社を辞め、PR業をメインにしたフリーランスとなりました。

「夫は育児にも家事にも協力的だし、昔から今に至るまで怒ったり不機嫌になったこともほとんどない、本当に優しい人です。でも、妊娠出産を経て、息子が1歳になったあたりから『あれ? しないのかな?』と思うことが増えました。

子どもと3人で同じベッドに寝ているし、今はそういう時期じゃないんだろう……と思うようにしていましたが、キスやちょっとしたボディタッチもなくなっていて。息子が2歳を過ぎても何も変わらず、ああ、これはレスなんだと気づかざるを得ませんでした」

当時、軽く夫を誘うような言動や行動をしていたという弥生さんですが、「疲れてる、弥生も疲れてるでしょ」「明日早いんだ」などと、毎回やんわりはぐらかされていたそう。彼に限って……と思いつつ浮気を疑ったこともあったそうですが、その可能性はほぼゼロでした。

「ほとんどの女性は、たぶん自分からパートナーに『セックスレスを解消したい』なんて言いづらいと思います。だって事実を口にした瞬間、自分がいわゆる『レスられ妻』だってことが浮き彫りになるから」 

けれど弥生さんは、長年の夫との信頼関係を信じて、思い切って話し合うことにしました。子どもがいるとしてもたまには性的関係を持ちたいこと、寂しい思いを抱えていること、弥生さんに原因があるなら、改善できることがあれば頑張りたい……ということを冷静に伝えたそうです。

 

「夫はきちんと私の話を聞いて、まずは謝っていました。ただ、息子が産まれてからは性欲がなくなっただけだと言ってました。私に対してではなく、性欲自体がなくなり、でも彼自身は特に違和感を持っておらず、むしろ現状は幸せだと。でも私がそんな気持ちでいるのは当然良くないから、改善していこうという話になりました」

 

きちんと気持ちを受け止めてもらい、その場はほっと胸を撫で下ろしたという弥生さん。夫は自分にとって唯一無二の男性で、夫婦仲も良い。だからセックスレスは解消されるだろうとその時は楽観的に思ったそう。けれど現実は、非常に厳しいものでした。

「最初の頃は2人で『これは精がつくかな?』なんて、食べ物を選んだりしてたんです。筋トレも効果的らしいと夫も自主的にジムに通ったり、私もエステに行って、新しい下着を買ったりして。でも約束の夜になると、全然ダメなんです。夫の『ごめん……』の一言で終了。気まずい空気のまま一応抱き合って眠るんですが、彼の寝息が聞こえてくると、毎回泣きたくなりました」

それでも、定期的にレス解消を試みていたという弥生さん夫婦。サプリを使ってみたり、夫が興奮できるようセクシー動画を見たり、弥生さんがこっそり性感マッサージをネット動画で学んでみたりもしたそうですが、効果はほとんどありませんでした。

「できない夫、してもらえない私。どっちも本当に惨めで。毎度夫に『ごめん』と言われること、言わせることも辛い。でも、何より辛かったのが、セックスをしようと頑張っているとき、夫が私を見ていないこと。目を瞑っていたり、どこかちがう所を見てるんです。どんなに頑張っても、もう彼が私には欲情できないことを痛感して、ああ駄目なんだと理解しました」

いくら頑張っても、お互いが可哀想になるだけ。弥生さんは、セックスレスの不満よりも、夫への哀れみや無理をさせている罪悪感が勝るようになり、2人は自然と努力を辞めてしまいました。