かつて日本は多くの国を敵に回し、勝つ見込みのない戦争をしてしまいました。一連の戦争は軍部が主導したものとされていますが、今の憲法と比較すると権限が小さいとはいえ議会も存在していたことを考えると、戦争を支持した国民が一定数存在していたことは間違いありません。当時の新聞を読むと、戦争を煽る内容も多く、国民の側が一方的な被害者であるとは言い難い状況です。
当時、同じ調査は存在していませんが、もし行われていれば、今のロシアのように、たとえ間違っていても自国を支持すると考える日本人が多かったのかもしれません。
ちなみに、2003年の調査では、間違っていても自国を支持するという日本人の割合は25%あり、ロシアほど高くはありませんが、スウェーデンやノルウェーよりは高いという結果でした。しかし最新の調査である2013年版では日本は18%と大幅に下がり、もっとも割合が低い部類に入っています。
他国は10年間でそれほど大きな順位変動はなく、10年の間に日本人の意識がだいぶ変わったことが分かります。何が原因なのか明確には分かりませんが、自国の過ちに対してノーを突きつけられる国こそが民主国家ですから、私たちは、数字が下がっていることについて誇りに思ってよいのではないでしょうか。
そして最後に重要となるのは、何が正しくて、何が間違っているのかという判断力です。
報道の自由があり、多くの人が自らの意見を制限されることなく発言できる社会であれば、ほとんどの国民は何が正しくて、何が間違っているのか、自らの力で判断できるでしょう。
ロシアの現状を見るにつけ、日本が戦後、獲得した言論の自由がいかに大事なのか分かります。最近は民主的な制度に対して疑問を投げかける人が一部出てきているようですが、こうした誤った声で、自由な社会が脅かされることがないよう、私たちは常に注意を払っていく必要がありそうです。
※ ISSP国際比較調査「国への帰属意識」(2013)
前回記事「名門校の部活で金銭トラブル...「善意」や「献身」が支える部活のあり方を今、問い直す時がきている」はこちら>>
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