ある私立高校の部活動で金銭トラブルが発生していることが報じられ、ちょっとした話題となっています。これまでの部活動は、父兄や卒業生が支援したり、顧問の先生が献身的に世話をするなど、人のつながりで維持されてきた面があると思います。しかし近年では、顧問のなり手がいない、部員が集まらないといった理由で存続が難しくなっているケースも珍しくありません。経済的・社会的環境は変化していますから、部活動も時代に合った運営方法を模索する必要がありそうです。

写真:Shutterstock

トラブルになっているのは、都内にある私立高校の技術工作部です。この部活動は50年以上の歴史があり、部員が低公害車を製作するなど、大人の技術者顔負けの実績を持っているそうです。ところが、この部活動において200万円近くの借入れや貸付けが発生していることが明らかとなりました。

 

詳細は明らかにされていませんが、卒業生からの借入れや、逆に卒業生に対する貸付けが存在していたということは、予算不足を補うため、足りない経費について、卒業生が何らかの支援を行っていたことが推察されます。

筆者の高校時代の部活動も似たような状況でした。

時折、訪れてくる卒業生が支援してくることで資金不足を解消できたことが何度かあり、自身も卒業後は何回か学校を訪れ、少しばかりの寄付をしていました。当然のことながら契約書やルールがある世界ではありませんが、同じ部活の先輩、後輩ということで、お互いよく分かっている間柄です。相互の信頼関係で続いてきた仕組みといってよいかもしれません。

しかし時代は変わり、こうした人間関係のみで維持される組織が成立しにくくなっています。今回、報道されたケースにとどまらず、学校の部活動がうまく運営できないという話をあちこちで耳にするようになってきました。

少子化で生徒数が減っていることから、部員が足りず、活動そのものが継続できないケースや、顧問のなり手がいないという問題も深刻化しています。

学校側は部活動について顧問の先生に任せきりにしているところが少なくありません。昭和の時代であれば、献身的に部活動に打ち込む先生も多かったかもしれませんが、今の時代は教師も労働者の1人として、ワークライフバランスを重視することが求められます。すべてを犠牲にしなければ顧問が務まらないという状況では、なり手がいないのも当然といえるでしょう。

 
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