ミドルエイジが直面する介護やお金の問題について、知っていると安心する制度やポイントを噛み砕いてお伝えするこちらの連載。介護の専門家でFP資格を持つ渋澤和世さんが、皆さんのお悩みにお答えします。今回は、年下の配偶者がもらえる「加給年金」についてのお話です。


年金だけで暮らせているのは全世帯の44%


先日、「年金受給者のうち、年金だけで暮らせているのは全世帯の44%」という数字が厚生労働省から発表されました(「2022年国民生活基礎調査の概況」より)。毎年更新されるこちらの調査では、例年約半数の世帯が年金だけで生計を立てられているという結果が出ていますが、それは現役時代の働き方や生活水準によって大きく変わります。今回の相談者・さやかさんは、ひと回り年上の夫がリタイヤし、今後の生活に対して不安を抱えている様子です。話を聞いてみましょう。

 

もう働きたくないと言ったひと回り上の夫


私は25歳の時にひと回り上の夫と結婚し、これまで何不自由なく過ごしてきました。夫は出会った頃から総合商社に勤務しており、年収は1500万円超え。結婚してすぐに海外赴任が決まり、私は子どもを授かったこともあって、社会人経験3年ほどで早々に仕事を辞めてしまったのです。

日本に帰ってきてからも家庭中心の生活が続き、それなりに充実した日々を送っていましたが、夫もそろそろ65歳。総合商社を退職後は別の専門商社の相談役として非常勤勤務していましたが、そろそろ余暇を楽しみたいとのこと。2人の子どもも巣立ったので、貯金を切り崩しながら、年金もあてにしつつ生活することになりました。

結婚した当初から、働きづめの夫がいつかリタイヤすることはわかっていましたが、いざそうなると不安になるものですね。夫に話すと「貯金があるから心配するな」と言われますが、今さらながら自分も働くべきか悩むようになりました。

私はまだ50代半ば。今後、年金だけで養ってもらえるのか漠然とした不安を抱えるようになったと友人に話したところ、「さやかの家の貯蓄額は知らないけど、年上の夫を持つ妻はお得な年金がもらえるって聞いたよ」と言うのです。

友人が言うように、年の離れた妻がいる場合にもらえるお得な年金などという、うまい話あるのでしょうか。

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加給年金をもらえる条件と失権するケースって?
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