実は今、お金で買える地位財による幸せは長続きしない一方で、非地位財による幸せは長続きすることが明らかになり、非地位財の価値がクローズアップされています。
そして、専業主婦とは家族のあらゆる非地位財に関わる重要な「役職」です。まず、専業主婦は家族の情緒的なつながり、すなわち「絆」の中心になれます。
絆の中心になることだけでも大きな価値なのですが、専業主婦の真価はこれだけではありません。家族にプライドを与えることもできます。
忘れられがちですが、家族とは組織です。私達人間は組織に帰属することで心の安定を得ます。そして、組織とは物語を持つものです。物語は一人ひとりにあるものですが、実は組織にも、家族にも物語があるのです。この物語を大切に思えると、そこにプライドが生まれます。もちろん周りを卑下して調子に乗るような歪んだプライドはいけませんが、自分と自分の家族を誇りに思えることは心理学的な健康においても非常に重要なことのひとつなのです。
また、家族の健康を気遣い、地域の安全にも目を向けることで、結果的に自由を奪う不健康や危険から家族を守ることもできます。もちろん、一人ひとりの心がけでできる部分もありますが、専業主婦はこれを強力に支えることができるのです。
もう一つ、付け加えるならば、専業主婦が作り出すこれらの非地位財、特に愛情は親族や地域社会の中で交換し合うことで相互に共鳴し、何倍にも膨れ上がります。専業主婦が作り出す非地位財は、本当はスゴイのです!!
さて、いかがでしょうか? 専業主婦がどれだけ幅広く非地位財を生み出しているかおわかりいただけたでしょうか? 冒頭の言葉に戻りますが、「家族のために仕事を辞めた」のが専業主婦なのではありません。非地位財の創造に従事しているのが専業主婦なのです。
文/杉山崇
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