誰の人生にも「物語」があります。
人は、成仏できない物語があると辛い気持ちになり、前向きな物語を描けないと落ち込んだりモヤモヤしたりします。
この連載では、心理学者でキャリアコンサルティング技能士の杉山崇先生が、「物語」という名のライフキャリアを整える方法を皆さんにお伝えしていきます。
あなたの中に「成仏しない物語」が燻ってはいませんか? かく言う私の中にも、多くの「成仏しない物語」が漂っています。ですが、これは「成仏しない」のではなく、あなたの魂が「成仏させない」のかもしれません。「成仏しない」と「成仏させない」、この違いは何なのでしょうか。
今回は、この違いについてご一緒に考えてみましょう。
『スパイダーマンNo Way Home』
突然ですが、『スパイダーマン』をご存知ですか? 繰り返し映像化されている作品ですが、近年ではちょっとかわいい顔をしたイケメン俳優トム・ホランドがマーベル・シネマティック・ユニバースで3部作を演じて大ヒットの記録を残しています。
3作目の『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』では2002年からの3部作でスパーダーマンを演じたトビー・マグワイア、同じく2012年からの2部作で演じたアンドリュー・ガーフィールドも共演して20年来のファンを熱狂させて話題になりました。大いなる力を持ちながらも、ちょっと足りない高校生が引き起こす悲喜劇……よかったらぜひ御覧ください。
おっと……、なぜ、この誌面で『スパイダーマン』の話をするのかって?
疑問に思われたかもしれませんね。この誌面のテーマは「成仏させない物語」、アクション映画は全く関係ないように見えます。当然の疑問です。
ですがちゃんと理由があります。それは、「成仏しない物語」と「成仏させない物語」の決定的な違いをあなたにお伝えするためです。スパイダーマンに興味がある方にも、興味がない方にも、あなたの人生を整えるために大切なポイントをご紹介します。どうか、最後までお読みくださいね。
なお、ちょっとだけネタバレを含みます。ですが、この程度では映画の面白さは全く損なわれない……と私は思います。
失敗と後悔のヒーロー、スパイダーマン
さて、まずスパイダーマンというスーパーヒーローの特徴をご紹介しましょう。それは、「足りないところ」がいっぱいのヒーローだということです。足りないところがいっぱいなので、うまく行かないこと、つまりは失敗が多いヒーローなのです。
失敗は「成し遂げられなかった物語」として心に刻まれます。もちろん、ヒーローのほとんどは何らかの無念を心に秘めていて、それがヒーローとしての活躍の動機づけになる事がほとんどです。ですが、スパイダーマンの場合は、その無念は「自分の足りないところが撒いた種」なのです。だから、心の奥底にはいつも「後悔」を抱えています。
そして、スパイダーマンは、その後悔を原動力に活躍するヒーローなのです。そしてトム・ホランド版の3作目『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は、そのスパイダーマンの特徴が本当にドラマチックに描かれた映画でした。
この映画には、すでにお伝えしたように過去20年で演じてきたトビー・マグワイアとアンドリュー・ガーフィールドが出演しています。ややこしいので、ここからはトビースパイダー、アンドリュースパイダーと呼びますね。どちらのスパイダーマンもそれぞれが主役の世界で大きな後悔を残しています。この映画ではその後悔が昇華されるエピソードが登場します。
【漫画】「成仏しない物語」と「成仏させない物語」の違い
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