7月にスタートした成田凌が主演を務める連続ドラマ『転職の魔王様』(関西テレビ制作、フジテレビ系/月曜午後10時~)、みなさんご覧になっていますか? ネット上では「リアリティがあって面白い!」と共感する視聴者が相次いでいます。実際、転職支援を求める人々のキャラクター設定や職場のパワハラやひそひそ話など、業界「あるある!」が結構リアルに描写されていました。

また、転職エージェントを題材にしたドラマは珍しいので、国家資格キャリアコンサルタントの有資格者の間でも話題になっています。一部では、このドラマの視聴が「必修」のようになっている方々もいるという噂も。
私も噂を聞きつけて視聴してみましたが、キャリアコンサルティングの関係者としてはとても興味深いものがありました。色んな意味で、みなさまの幸せと日本経済の発展のためにもこのドラマはもっと注目されて然るべきだと思います。

そこで、このドラマのキャリアコンサルティング的なリアリティの実際を解説してみたいと思います。転職を考えている方も、転職エージェントも、国家資格キャリアコンサルタントの方も必読です。
 

ダークヒーローの決めゼリフ「あなたの人生、それでいいのですか?」

『転職の魔王様』の2人は最高のバディ?キャリアと心理学のプロが指摘する転職エージェントの現実_img0
 

さて、まずはドラマの決めゼリフから考えてみましょう。
“魔王様”というタイトルが示すように、成田凌が演じる主人公の来栖は全く愛想がありません。バリバリの尖ったキャラです。杖をついていますが、暴漢に襲われても杖で交わす……というツワモノです。

 

無駄口も叩きません。しかしその分、口を開くときはストレートに正論をぶつけます。棘のある言葉でもお構いなしです。
クライエントである転職希望者に対しても、周りが凍りつくような厳しい言葉や提案を投げかけます。もちろん、それらは転職希望者のことをとことん考え抜いたからこそ言えるものばかりです。
一方で転職希望者はというと、来栖の言葉が厳しすぎてすぐには提案を受け入れられません……。そんなとき、ある決めゼリフが転職希望者に気づきを促します。そのセリフとは……

「あなたの人生、それでいいのですか?」

です。

このセリフ、回によって多少の言い回しはアレンジされていますが、まるで転職希望者のこれまでの人生を全否定するかのように刺さります。ただし、来栖の言葉や提案は的を射ているので、結果的に転職希望者は自分自身に目覚めます。そして自分らしい生き方と働き方にたどり着く……という爽快感がこのドラマの魅力です。

主人公の来栖は、まるで闇と影を背負いながら人々を救うダークヒーローのようです。かっこいいですね。現実はともかく、転職エージェントをヒーローのように描いている点が私は興味深かったです。