パラダイムシフトの今、「美の価値観」を刷新し続けてきた美容ジャーナリスト齋藤 薫さんが、注目したいある視点をピックアップします。
歳とともに、白を着なくなるのはなぜ?
歳を重ねるほどに、着られる服の範囲を自ら狭めてしまう……日本女性にはもともとそういう傾向がありました。欧米ではむしろ、歳をとるほど派手な服を着るのが一般的なのに、日本人は、逆に派手にしてはいけないと思い込む。もちろん今は、オシャレの意識も変わってきているけれど、色に対してのネガティブ思考は、未だにくすぶっているよう。
例えば、50を過ぎたら、60を過ぎたら、「赤やピンクはもう無理かも」。「全身白は危険、やめたほうがいいかも」という具合。
でもそれ、本当でしょうか? 一体何を根拠に? もちろん中間色やくすんだ色を着こなす洗練も大人のものですが……むしろ白が最も似合うのは50代であると私は思うのです。
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今年のアカデミー賞受賞式で、アジア女性初の主演女優賞を獲得したミシェル・ヨーが、真っ白なディオールのドレスを着て登場した時、誰もがハッとしました。「女性のみなさん、全盛期が過ぎたなんて誰にも言わせてはいけません。ネバー・ギブアップ! 」と、60歳を超えていることをも思い入れたっぷりにアピールしただけに、その純白のドレスを余計眩しく感じたもの。
60を超えても、真っ白のドレスを着ていいのだと。いいんです。それどころか、こんなに白の似合う人がいるだろうかと思ったはず。でもそれって、ミシェル・ヨーだからでは? それだけではありません。上手に年齢を重ねた人にこそ白は映える、だから白が1番似合うのは、むしろ50を過ぎてから、そう言い切っていいはずなのです。
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