オフィス勤務時はサングラス、イヤーマフ、手袋もOK


――今回伺ったオフィスにはほとんど人がいらっしゃらないですが、メンバーのみなさんはご自宅で作業されているんですね。

山本 コロナを機にフルリモートを導入しました。通勤って、ただでさえいろんなストレスがありますよね。電車が遅れるなど突発的なことが起きたとき、発達障がいの方は特に大きなストレスを感じてしまうことがあります。私がGBOの社長に就任したのは3年前、ちょうどコロナが始まった頃だったのですが、全員と1対1の面談をする中で非常に多く質問があったのが、コロナ禍が明けてからの勤務体制についてでした。

「オフィスで雑談するのが楽しい」というメンバーもいますが、やはり「自宅で働く方が体調を整えやすい」という声が多数派でした。なので、グリー本社の理解と協力を得て、独自でフルリモートに踏み切ったんです。今はコンパクトな横浜のオフィスに移転して、メンバーやマネージャーたちが必要なときに出社しています。

――窓からは山下公園と海が見えて、とても素敵な環境ですね。今はほとんどの方がリモート勤務ということですが、オフィス勤務時には色々な配慮をされていらっしゃったそうですね。

従業員のほとんどが精神・発達障がいを持つメンバー。障がい者も健常者も「能力を活かせる職場」とは?_img0
 

山本 音や光に敏感な方は、サングラスやイヤーマフの着用を、手に汗をかきやすい人は、手袋を着けたまま仕事をしてもOKとしていました。移転前のオフィスには仮眠室を多めに作っていて、疲れたらちょっと横になれるようにもしていましたね。

 

――一般的な職場の場合、例えば音を遮断するためにイヤーマフをしていると「あの人何?」みたいな顔をされたりしますが、メンバー同士の相互理解や共有は、どのようにされたのでしょうか。

山本 イヤーマフやサングラス、手袋などは「見た目」でわかるものですが、みんな何かしら苦手なものがあったりするので、こちらから説明をしなくても訝しがる人はいませんでした。これは弊社に限らずですが、自分がありのまま受け入れられて、仕事で活躍できているという安心感が一人ひとりにあれば、職場で少しくらい周りと違う人がいたとしても、他者に対する不寛容さは薄まっていくのではないかなと推測します。