SNSやウェブメディアを開くと、あふれんばかりの「成功者のキラキラトーク」が目に入ってきます。

目の前の仕事に地道に向き合っていたら道が開けました。
私はただ、好きなことを追求していただけなんです。
いつも周囲の人に助けられてきました。

たまに差しはさむ苦労話は、エピソードを盛り上がるスパイス的存在。ちょっとつまずいても次の瞬間には起き上がり、「それもまたいい経験でした」と話はきれいにまとまってしまいます。

そういうものを次から次へと読んでいると、次第に「私なんかの話に価値はない」「失敗ばかりの自分は恥ずかしい」と卑屈な気分に。自分の話をしなければならないときは、なんとかキラキラするようにちょっと話を加工。そうでなければただ黙って、淡々と仕事をする……そんな姿勢が染みついてしまっている人は多いのではないでしょうか。

そんな私たちに山盛りの失敗エピソードをかついで切り込んできたのが、山口真由さんです。


エリート経歴の持ち主? 驚きの「答え合わせ」とは


山口真由さんといえば、タレントとしてTVのバラエティ番組でも活躍していた弁護士。現在は、メディアでコメンテーターを務めながら、信州大学特任教授として家族法を専門に研究されています。

東京大学法学部を首席で卒業した後、財務省入省。その後弁護士として大手渉外事務所に転職し、TVでのキャリアもスタートされました。

そんな山口さんの衝撃的なインタビューが日経xwomanで公開されたのは、2022年6月のこと。

財務省を辞めたのは仕事が出来ない勘違い人間だったから。弁護士事務所に移ってもそれは変わらず、窓際社員のような扱いをされていることを秘書にバレないように、仕事をしている振りをする日々。結局クビを言い渡されるも転職先が決まらず、「ハーバード留学」という体裁を整えてアメリカに逃亡。帰国しても仕事はなく、月収数万円なのを家族にも友人にも言えず……。

きれいにメイクをし、素敵な衣装を着てTV番組に出ていた裏側で、こんなことが起きていたとは。「ダメな山口真由」エピソードの連打に、読んでいて唖然としてしまいます。

 

「弱さ」を下の世代に開示する意味


このインタビューが公開されたのは、日経xwomanサイトの中でも20代に向けたページ。記事は大きな反響を巻き起こし、2023年5月に書籍になりました。

 
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