「まだ若い、これからですよ」と過去を振り返れる人は、今に満足している人
この夏、51歳の誕生日に母から電話がありました。「おめでとう。51歳なんて、人生これからね!」と言います。ほう、閉経からが人生ですか。「ママが51歳の時はどうだった?」と聞いたら「もう大体子育てが終わって、主婦を満喫してた」と。いいなあ昔の専業主婦。実際は、当時16歳の私と毎晩のように親子喧嘩をしていたのだけど、いい感じに記憶が編集されているようです。苦労をかけたと思っていたので、それを聞いてちょっと安心しました。86歳の母にとっては、今振り返ると50代は若かったし、いろんな楽しいことがあったんでしょう。私も「そうかあ、人生これからか。ありがとう!」としみじみ嬉しかったのでした。そばで聞いていた夫も「51歳の誕生日に親が祝ってくれるって、いいものだね」と、早くに亡くした両親を思っていたようでした。
以前、作家の佐藤愛子さんに「私、もう48歳なのに」とおのれの不甲斐なさをぼやいたら「あなた、まだ私の半分しか生きてないじゃないの。これからですよ」と笑っていらっしゃいました。佐藤さんは、今年100歳になられます。経験豊かな人生の先輩の言葉には実感がこもっていて、素直に聞くことができます。お話しするたびに、この先もいろいろ面白いことがありそうだなと、元気が湧いてくるのです。
「まだ若いですよ」は、すでにその年齢を通り過ぎた人々が言ってこそ説得力があるのですね。私もたまに、30代で「もう若くない」と落ち込んでいる人を励ますことがあります。「30代っていいものですよ。経験も体力もあるし、いろんな挑戦ができる年齢ですよ。失敗したって、やり直せる時間があるし」と。そう言えるのは私自身が50代の現在にそれなりに満足しているからかもしれません。その姿を見れば、若い人も年齢を重ねることが怖くなくなるんじゃないかしらと思うのです。
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