ベキが「日本への恨みなどなくなった」と言ったのは本心なのか?


「かつて、公安を恨んでいたことはたしかだ。私はノコルに出会い、孤児たちのために生きると誓った。この地で、必死に生きていくうちに、日本への恨みなどなくなった」

テントが起こしているテロの最終目的は日本だと言われていました。しかし、乃木に真相を聞かれたベキは、ただの噂だと否定。でも、やっぱり「日本への恨みなどなくなった」と言った時のベキの表情は、ちょっと違和感がありました。本心でそう言っているわけではない気がしたんですよね。どうも、芝居くさいというか。

そもそも、ベキはベキになる前、つまり卓時代に、公安からスパイとしてバルカに潜入することを指示されていました。バルカでは農業使節団として農業開拓に勤しみ、現地民からの支持を集めていましたが、ある日スパイだとバレてしまう。そして、現地の武装集団に追われてしまったのです。

通常ならば、そこで公安が救助に来てくれるはず。あくまで任務として現地に行っているわけだし、卓も当然そう信じていました。だから、救助ヘリが来た瞬間、“もう大丈夫だ”と安心した。それなのに、ヘリは指揮官の命令により、目の前で引き返してしまったのです。つまり、公安は潜入を指示しておきながら、足手まといになったら簡単に切り捨てたということ。しかも、そのせいで卓の妻・明美(高梨臨)は命を落としてしまいました。

「私たちをこんな目に合わせた奴を、私は絶対に許さない。復讐して」

これが、明美の死に際の言葉でした。人情深いベキが、愛する妻の遺言を忘れることができるのでしょうか。やっぱり、ベキはどんな形であれ、“復讐”を果たすと思うんですよね。きっと、自分の命を懸けて。フローライト(蛍石)が眠っている土地を買い占めたのも、ベキの死後も孤児たちが安心して暮らせるようにするためなのでは? と思ってしまいます。


また、最終回では乃木家の救出をやめさせた指揮官の正体も明らかになりそうです。ベキの人生を狂わせた張本人。もしもあの時、ヘリが引き返していなかったら、今ごろ乃木家は幸せに暮らしていたかもしれません(そしたら、ベキとノコルが出会うこともなくなってしまいますが……)。

 

個人的には、小日向文世さん演じる長野利彦が、ただの不倫野郎では終わらない気がするんですよね。年齢的にはちょっと若すぎるかもしれないけど、当時の指揮官が長野専務だったら、めちゃくちゃ面白いなぁと思います。