河合隼雄曰く、「正論は人を傷つける」
とは言え、このドラマ、魔王・来栖のキャラクターだけで大団円にたどり着けるものではありません。実際の転職マーケットでもそうなのですが、魔王・来栖のキャラクターでは転職希望者を追い詰めるだけで終わってしまう場合もあります。
ちょっと話がそれますが、臨床心理士業界のゴッドファーザーとも言える故・河合隼雄先生は「(現実的な)正論は人を傷つける」ので、正論を吐くときは配慮が必要……と述べていました。このことは転職エージェントにも当てはまります。転職エージェントは残酷な現実を突きつける役割だからこそ、転職希望者を和ませる愛嬌や温かさが必要なのです。
ドラマでは来栖は傷つける役に徹するので「魔王」と呼ばれるわけですが、和ませる役はそのバディである小芝風花が演じる未谷(ひつじたに)が担っています。小芝風花が愛嬌たっぷりに演じるので、なかなか魅力的なキャラクターに仕上がっています。
小芝風花演じる「未(羊)」キャラの魅力
ここで、「未谷」という名前にも注目したいと思います。未(羊)は干支にも数えられていますが、家族の和みを象徴する動物とされています。転職はキャリアの一大事ですので、転職希望者と転職エージェントには家族のような信頼関係が必要です。
主人公が魔王として「傷つけ担当」である分、そのバディは「和ませ担当」という構図、私は絶妙だと思います。なぜなら、キャリア支援者をはじめとした誰かの相談に乗る仕事は、来栖のようなキャラクターと未谷のようなキャラクターの両面が必要だからです。
実際、私たちの意識と行動をコントロールしている脳には来栖のような意識を支えるネットワークと、未谷のような意識を支えるネットワークの両方が備わっています。つまり、私たちの脳は来栖の役割も未谷の役割も、その両方をこなせるように作られているのです。
ただ、この2つのネットワークのバランスは人それぞれです。来栖キャラになりやすい方もいれば、未谷キャラになりやすい人もいるのです。
心理ゲームで、あなたの新しい物語を!!
そこで、先程の心理ゲームを作ってみたわけです。あなたの中の魔王と羊、どの程度の割合だったでしょうか? この割合は持って生まれたものではないので、心がけ一つで調整も可能です。
この心理ゲームの結果に納得がいかない方は、これをきっかけにご自分の新しいキャラクターに目覚めてみるのはどうでしょうか? 今日も、あなたの新しい物語を生きていただけたら嬉しいです!!
文/杉山崇
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