起業をしてみて、「全部よかったことしかない」


——小林さんは、起業してよかったですか?

小林 全部よかったことしかないです。もちろん、大変なことばかりですけど、後悔とか、嫌だなとかは一切思ったことはないですね。それに「大変だな〜」ってぽろっと言うと、みんなが「今日も頑張りましょう」って言ってくれるんです。ありがたいなあって。

花開けなかった20代は「暗黒史みたいな時期」。俳優・小林涼子さんが「農業」で起業した理由_img4
 

——俳優業もやりつつ、経営もして、ときにイベントも開いたりと様々なことをされていますが、一番どういう瞬間が、小林さんにとって喜びを感じますか。

小林 今日開園した、この「AGRIKO FARM ⽩⾦」に到着したとき、うちの農園で働いてくれている障がい者の方と一緒にエレベーターに乗ったんです。そうしたら、「今日はお披露目会だからコーディネートしてきたよ」って。ブルーの服にマスクもブルーで決めてきてくれたんです。昨日までは、今日の内覧会の準備ですごく疲れていたんですけど、そんなふうにメンバーがドレスアップしてきてくれて疲れが吹き飛びました。一番嬉しいのは、そういう瞬間かもしれません。あと、誕生日を農園で祝ってもらったときは、思わず泣いてしまいました。沁みましたね。仲間っていいもんだなぁって。

 

撮影に行くときは「お父さん」の心境


——会社を始めて、もうひとつ居場所が増えたという感じですか?

小林 居場所というより、「家族」が増えた感じです。「お父さん」みたいな気持ちになってます。

——俳優業のほかにもうひとつ居場所があるというのは、精神的にもよかったりしますか?

小林 「絶対負けらんないな!」っていう気持ちになりますね。「安心する」っていうよりは、家族を守らなきゃ、という気持ちが生まれて、すごくたくましくなりました。農業は癒やしでもあるけれど、自分を癒やしてくれたり、守ってくれたり、サポートしてくれた人たちを、悲しませたくないっていう気持ちが今は強いかもしれません。

——AGRIKOがあることで、俳優のお仕事も頑張ろうという気持ちになれそうですね。

小林 みんな、「ドラマ見てるよ」って言ってくれたりするんです。頑張らなきゃって思いますし、メンバーたちに「忙しそうですね」「ロケですか」「農園守っておきますからね」って声をかけられると、お父さんみたいな気持ちになります。「またすぐ帰ってくるからね」って。