自身の出演する最新映画『月』について感想を聞いた時、「この映画に、あまり褒め言葉は使ってはいけない気がします」と遠慮がちに呟いた俳優・二階堂ふみさん。作品は2016年に起きた相模原障害者施設殺傷事件をモチーフに描かれた原作小説を映画化した作品。二階堂さんは、後に凶行に及ぶ「さとくん」の同僚で、事件が起きた施設で働く女性ーーそして「さとくん」によく似た鬱屈を抱える陽子を演じています。社会に衝撃を与えたその事件の映画化には、様々な論議が巻き起こることは避けられません。それでも作品を作ることには意義があると考えた二階堂さん。彼女が社会を意識し発信を続ける理由は、彼女が生まれ育った沖縄にあるようです。

インタビュー前編
二階堂ふみ「社会全体が当事者と思ってほしい」重すぎる現実に答えが出せなくても>>

二階堂ふみが沖縄で育ったからこそ差別や偏見について思うこと_img0
 

二階堂ふみ
1994年9月21日生まれ、沖縄県出身。役所広司の初監督作『ガマの油』(’09/役所広司監督)のヒロイン役で映画デビュー。『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』(’11/入江悠監督)で初主演。以降『ヒミズ』(’12/園子温監督)、『悪の経典』(’12/三池崇史監督)、『地獄でなぜ悪い』(’13/園監督)などに出演し、『私の男』(’13/熊切和嘉監督)でも圧倒的な演技力を見せている。他、『糸』(’20/瀬々敬久監督)、『大怪獣のあとしまつ』(’22/三木聡監督)が配信中のほか、『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』が2023年公開予定。