「みなさん、セックスはギブ&テイクです」

セックスは生きること、性は衰えず熟成させるもの。だから「気持ちいいがきほん」【福本敦子×森田敦子】_img0
 

美容コラムニスト・福本敦子さんが、植物療法士・森田敦子さんとの対談を交えながら、「人間として生きること、また自分の“性”を持って生きるということ」を考えた共著『気持ちいいがきほん』。かけがえのない大好きな母との別れを経て、「心地よく生きること」に視線を向けて歩き始めた福本さんは、自分の“性”を愛おしむためにできること、を考え始めます。

 

思い出したのは、高校の家庭科の担当だった「近藤先生」のことでした。近藤先生はある日の午後、女子生徒だけだった選択授業のクラスで、「みなさん、今日は大切な話があります」と前置きして、こう話しかけたといいます。

「みなさん、セックスはギブ&テイクです。どちらか一方が満足するものでなく、我慢するものでもなく、お互いに与え合って楽しむものです。避妊をしっかりして、楽しみましょう」

本当のことすぎて、全員数秒の沈黙。これだけはっきりしていてみんなが興味のあるトピックで、なおかつ先生が真摯に向き合って伝えてくれたメッセージが高校生活の中であっただろうか。そういう話にやみくもにフタをするのでなく、かといって野放しにするわけでもない、私たちを守るメッセージも含まれた愛のあるシンプルな言葉でした。

このときのことを、「みんな、ちゃんと聞いていました。先生、10代のときにこれからの私たちの『性』を肯定してくれてありがとう」と綴る福本さん。40代を目前にした今、改めて自分の“性”とどう向き合えばいいのか、本書では森田敦子さんと一緒に模索します。「心地よく生きること」にはセックスも大切な要素――そんなことがわかる二人の会話を、特別に抜粋してお届けします。

セックスは生きること、性は衰えず熟成させるもの。だから「気持ちいいがきほん」【福本敦子×森田敦子】_img1
 

福本敦子(ふくもと あつこ)さん/写真左
美容コラムニスト。オーガニックコスメ黎明期のコスメキッチンに14年間勤務後、独立。心地よいリズムの語り口で紹介する「#敦子スメ」は、「読んだ瞬間試したくなる」と反響を呼ぶ。近著に『気持ちいいがきほん』(光文社)がある。【Instagram】@uoza_26

森田敦子(もりた あつこ)さん/写真右
株式会社サンルイ・インターナッショナル/Waphyto代表。大学入学を機に上京し、在学中には中国への交換留学を経験。卒業後は航空会社で客室乗務員の仕事に就くも、気管支疾患を発症する。その治療として植物療法に出会い、本場のフランスで学ぶため退職し渡仏。フランス国立パリ13大学で植物薬理学を学ぶ。2022年には、ELLE誌が選ぶ「世界を変える女性100人」に選出。【Instagram】@atsuko1705

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